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Caltech と カブリIPMU で素粒子論の研究をしています。(写真提供:日経サイエンス)
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2009年 02月 04日
対称性の破れ
年頭のブログで、2008年度のノーベル物理学賞の解説記事「素粒子物理学の50年―対称性の破れを中心に」を岩波書店の雑誌『科学』に寄稿したことを書きました。

この記事を書くために、南部先生、小林先生、益川先生の回顧記事やインタビューを読んで、いくつか勉強になったことがあります。

たとえば、小林先生のインタビューに、CPの破れの機構を提案された論文について、「知られている4番目の粒子だけではだめだということは、非常に強い結果だったから、ちゃんとやらなければいけないなという気はありました」とありました。4番目の粒子というのはチャームクォークのことです。 この粒子は小林‐益川理論の発表された翌年の1974年に、スタンフォード線形加速器センターとブルックヘブン国立研究所で発見されたというのが通説なので、小林先生がどうして「知られている4番目の粒子だけでは」とおっしゃったのか不思議に思いました。そこで文献を調べてみると、すでに1971年に名古屋大学の丹生潔先生が宇宙線実験で新粒子を発見されていて、小川修三先生がこれがチャームクォークであると解釈されていたそうです。当時は広く認められてはいなかったようで、私もこの解説記事を書くまでは知りませんでした。小林先生は、ノーベル賞受賞講演で、丹生実験を紹介されています。

南部先生の1960年の超伝導の論文を読んだり、物性物理学理論の先生方に超伝導の機構の発見の歴史についてご相談したことも、勉強になりました。また、素粒子物理学現象論の先生方には、小林‐益川理論の検証や宇宙物理学への応用について、ご教示いただきました。

小林‐益川理論の検証には、日本の高エネルギー物理学研究機構(KEK)と米国のスタンフォード線形加速器センター(SLAC)に建設されたBファクトリーにおける実験が、決定的な役割を果たしました。SLACの実験の構想者の一人で初代の代表者(スポークス・パーソン)であったCaltechのディビッド・ヒットリンさんにも、当時の話をお聞きして、解説記事の参考にしました。ヒットリンさんは、小林先生にノーベル賞授賞式に招待されたと、喜んでいました。ヒットリンさんの、ストックホルム旅行のブログは、SLACとFermilabの共同の広報誌に掲載されています。

記事の最後にも書きましたが、「対称性の破れ」というような、自然の最も基本的な構造について深く考えることで、素粒子の質量の起源を説明し、新しい素粒子現象を予言し、宇宙の謎を解明できることが、素粒子論のすばらしさであると思います。

毎日新聞の書評欄に、東京大学の加藤陽子先生が、『科学』のノーベル賞特集を取り上げてくださいました。昨年の10月以来幾多の雑誌がノーベル賞特集を出す中で、「老舗の貫録を見せた」と書いていただけたのはよかったと思います。

by planckscale | 2009-02-04 14:29 | Trackback | Comments(2)
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Commented by AC at 2011-12-05 10:23 x
> 小林修三先生
小川修三さんではないでしょうか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%B7%9D%E4%BF%AE%E4%B8%89
Commented by planckscale at 2011-12-08 17:04
AC様、ご指摘の通りです。『科学』の記事では正しく記載していましたが、ブログ記事には誤植がありましたので、訂正しました。ありがとうございました。
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