2009年 02月 07日
ジョルダン標準形 |
理科系の場合、大学の教養の1年の時に解析と線形代数の基礎を学びます。線形代数の教科書はしばしばジョルダン標準形で終わっていますが、大学の講義ではそこまで行きつけないことが多いように思います。私は最近まで、物理学でジョルダン標準形が必要になる場面にお目にかかったことはありませんでした。
昨日のセミナーは、ハンブルグのドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)のボルカー・ショメロスさんでした。ショメロスさんは、超弦理論で使われる2次元の共形場の量子論の専門家ですが、いつも明解な講演ですっきりわかります。昨日は、現在日本の高エネルギー加速研究機構(KEK)にいらっしゃる疋田さんとの共同研究の話をしてくれました。2次元の共形場理論の双対性の例を、経路積分の積分変数を淡々と変換していくことで、第一原理から導出するところが見事だと思いました。
昼食の後で、前々から聞きたいと思っていた「対数的」共形場の理論について議論しました。この種の理論では、2次元のエネルギー(ハミルトニアン)が対角可能でなく、ジョルダン標準形を使う必要があります。ヒルベルト空間が正定値の内積を持っていて、ハミルトニアンが自己共約なら、そういうことは起きません。しかし、たとえば超弦理論の時空間で時間と空間が簡単に別れていない場合には、ハミルトニアンが対角可能でないことがあり得ます。数週間前に書いた反ドジッタ-空間の中の弦の運動を記述するベルコビッツ形式では、まさしくこのようなことが起きているようです。
線形代数を勉強した時に、ジョルダン標準形を使うことはあるのだろうかと思いましたが、超弦理論における時間の性質を理解するために必要になるかもしれません。2次元の共形場の理論についてはもう25年ぐらい研究していますが、まだまだ奥が深いようです。
昨日のセミナーは、ハンブルグのドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)のボルカー・ショメロスさんでした。ショメロスさんは、超弦理論で使われる2次元の共形場の量子論の専門家ですが、いつも明解な講演ですっきりわかります。昨日は、現在日本の高エネルギー加速研究機構(KEK)にいらっしゃる疋田さんとの共同研究の話をしてくれました。2次元の共形場理論の双対性の例を、経路積分の積分変数を淡々と変換していくことで、第一原理から導出するところが見事だと思いました。
昼食の後で、前々から聞きたいと思っていた「対数的」共形場の理論について議論しました。この種の理論では、2次元のエネルギー(ハミルトニアン)が対角可能でなく、ジョルダン標準形を使う必要があります。ヒルベルト空間が正定値の内積を持っていて、ハミルトニアンが自己共約なら、そういうことは起きません。しかし、たとえば超弦理論の時空間で時間と空間が簡単に別れていない場合には、ハミルトニアンが対角可能でないことがあり得ます。数週間前に書いた反ドジッタ-空間の中の弦の運動を記述するベルコビッツ形式では、まさしくこのようなことが起きているようです。
線形代数を勉強した時に、ジョルダン標準形を使うことはあるのだろうかと思いましたが、超弦理論における時間の性質を理解するために必要になるかもしれません。2次元の共形場の理論についてはもう25年ぐらい研究していますが、まだまだ奥が深いようです。
by planckscale
| 2009-02-07 10:31