2009年 08月 27日
本郷と訂正 |
今日は、会議と物理の議論のため本郷に行っていました。行く度に思うのですが、理学部1号館の研究環境はすばらしいです。理論物理の研究者が同じ9階のフロアーにいるので、物理学の他の分野の人と会うのにも便利です。左の写真は、9階からの眺望です。研究に詰まったときに、気分転換に1階のコーヒーショップに行けるのもありがたいです。
IPMUの建物も屋上部分までできつつあります。オフィスが、らせん状に最上階まで並んでいる様子を、外からも見ることができます。部屋割りも決まりつつあるようで、楽しみです。
さて、しばらく前にアルブレヒト・クレムさんが、BCOV方程式を摂動展開のすべての次数で解いたと書きましたが、私の読み違いで、方程式を解くための材料の一部を決定しただけのようでした。
BCOV方程式は摂動の次数についての漸化式で、私たちの論文では、ファインマン図の類似を使ってこれを逐次に解いていく方法を開発しました。その10年後に山口哲さんとヤウさんが、このファインマン図を効率的に足しあげる方法を開発しました。これは実際の計算に便利なので、よく使われています。
クレムさんたちの今回の論文では、ある種のカラビ‐ヤウ多様体について、山口‐ヤウの方法に使われる部品を計算したようです。しかし、私たちの方法でも山口‐ヤウの方法でも、漸化式を完全に積分するためには積分定数を決める必要があります。クレムさんたちは、以前の論文で、摂動の51次まで積分定数も含めて決定できる例を作りました。そこで今回の論文では、ついに摂動の無限次まで行ったのかと思いましたが、そうではなかったようです。ここに訂正します。
コンパクトなカラビ‐ヤウ多様体について、BCOV方程式を無限次まで積分することは、まだ課題として残されています。今回の論文でも、それに向けたアイデアが提案されているので、期待が持てます。
IPMUの建物も屋上部分までできつつあります。オフィスが、らせん状に最上階まで並んでいる様子を、外からも見ることができます。部屋割りも決まりつつあるようで、楽しみです。
さて、しばらく前にアルブレヒト・クレムさんが、BCOV方程式を摂動展開のすべての次数で解いたと書きましたが、私の読み違いで、方程式を解くための材料の一部を決定しただけのようでした。
BCOV方程式は摂動の次数についての漸化式で、私たちの論文では、ファインマン図の類似を使ってこれを逐次に解いていく方法を開発しました。その10年後に山口哲さんとヤウさんが、このファインマン図を効率的に足しあげる方法を開発しました。これは実際の計算に便利なので、よく使われています。
クレムさんたちの今回の論文では、ある種のカラビ‐ヤウ多様体について、山口‐ヤウの方法に使われる部品を計算したようです。しかし、私たちの方法でも山口‐ヤウの方法でも、漸化式を完全に積分するためには積分定数を決める必要があります。クレムさんたちは、以前の論文で、摂動の51次まで積分定数も含めて決定できる例を作りました。そこで今回の論文では、ついに摂動の無限次まで行ったのかと思いましたが、そうではなかったようです。ここに訂正します。
コンパクトなカラビ‐ヤウ多様体について、BCOV方程式を無限次まで積分することは、まだ課題として残されています。今回の論文でも、それに向けたアイデアが提案されているので、期待が持てます。
by planckscale
| 2009-08-27 19:40