2010年 10月 12日
超弦理論の勉強 |
大学1年生の「無力」さんから、場の量子論や弦理論を勉強するための洋書についてお問い合わせがありましたので、稿を改めてご返事をします。
私が大学院に入ったのは、ちょうど「第1次超弦理論革命」が始まった年でしたので、弦理論の教科書というものはありませんでした。大学院に入って最初に読んだのは、ジョエル・シャークさんが1975年に書かれた総説論文でした。修士号を取得するころにはジョン・シュワルツさんの編まれた論文選集が出たので、これで勉強しました。
現在、超弦理論理論の標準的な教科書としては、洋書では:
(1)マイケル・グリーンさん、ジョン・シュワルツさん、
エドワード・ウィッテンさんの1987年の本、
(2)ジョン・ポルチンスキーさんの1998年の本、
(3)シュワルツさんとベッカー姉妹の2007年の本があります。
ちょうど10年に1冊良い本が出ている勘定ですね。
全部、ケンブリッジ大学出版会が出しているというのも面白いと思います。
グリーン=シュワルツ=ウィッテンの本はもう20年以上前に書かれたものですが、カラビ・ヤオ多様体の説明などは最近の本よりもよく書けていると思います。
もう少し初等的なレベルでは、バートン・ツビーバックさんが学部学生向けに書かれた教科書があります。これはツビーバックさんがMITでなさった講義に基づいたもので、ツビーバックさんはこれでMIT全学の最優秀講義賞を受賞されています。
場の量子論の教科書については、また後日ご紹介します。
ところで、「無力」さんはラブラドールをお飼いだそうですが、私が盲導犬飼育者の会で見たのもラブラドールでした。米国では昔はシェパードを盲導犬に使っていたそうですが、ラブラドールの方が性格がやさしいのだそうです。
by planckscale
| 2010-10-12 12:54