2012年 08月 04日
ヒッグス粒子の「発見」 |
火曜日の朝にニューヨークの空港から成田空港へ。水曜日の午後2時40分に成田に着いて、そのまま柏キャンパスのカブリIPMUに向かい、研究成果を報告する会に出席しました。
最近は日本往復には深夜の便を使うことが多く、機内ではできるだけ寝るようにしていましたが、今回は久しぶりに昼間の便だったので、映画をたくさん観ました。
行きの便で観たのは、『ドラゴン・タトゥーの女』と『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』。前者は、ルーニー・マーラさんの演技が光っていました。後者は、『2001年宇宙の旅』や『時計じかけのオレンジ』とともに、スタンレー・キューブリックさんのSF3部作と呼ばれています。
帰りの飛行機では、『JIRO Dream of Sushi』と『銭学森』。前者は、有名なすし屋「すきやばし次郎」についてのドキュメンタリー。後者は、中国のロケット開発の父とされる銭学森さんの伝記映画です。銭さんは第二次世界大戦前に米国に留学し、Caltechで博士号を取り、JPL(ジェット推進研究所)の創設にも関わります。その後Caltechのゴダード教授として弾道ミサイル制御の研究を行いますが、1950年代の「赤狩り」の時代に軟禁を受け、朝鮮戦争の米軍捕虜と交換で中国側に引き渡されます。そして、中国で核弾頭をつんだ誘導ミサイルの開発を指導することになります。中国の臆面もない「国威発揚映画」なので、米国の会社の旅客機の中で見るのも不思議なものです。
金曜日の飛行機でパサデナに戻り、Caltechのオフィスに行くと、岩波の雑誌『科学』の8月号が届いていました。
冒頭の科学時評に、『ヒッグス粒子と見られる新粒子ついに「発見」』と題した、私の3ページの解説記事が掲載されています。
7月4日にCERNでの発表があった後、7月5日に編集部から記事の依頼があり、3日後の7月8日に原稿を送りました。超光速ニュートリノ騒動があったときには、同じく『科学』の11月号のために、5日間で解説記事を仕上げて、超光速の執筆だとブログ記事に書きましたが、今回はそれよりも早い3日間でした。
岩波から届いた封筒を開けると、表紙に
『南部陽一郎と大栗博司が語るヒッグス粒子の「発見」』
とあり、畏れ多いことに、南部先生が私の記事に続いてコメントを書いていらっしゃいました。
南部先生の文章は、さすがに簡潔ながら要点をすべて押さえたものです。素粒子物理学における「対称性の自発的破れ」のパラダイムを建てられた南部先生の、ヒッグス粒子発見についての感想を、こうして読むことができることは、ありがたいことです。
最近は日本往復には深夜の便を使うことが多く、機内ではできるだけ寝るようにしていましたが、今回は久しぶりに昼間の便だったので、映画をたくさん観ました。
行きの便で観たのは、『ドラゴン・タトゥーの女』と『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』。前者は、ルーニー・マーラさんの演技が光っていました。後者は、『2001年宇宙の旅』や『時計じかけのオレンジ』とともに、スタンレー・キューブリックさんのSF3部作と呼ばれています。
帰りの飛行機では、『JIRO Dream of Sushi』と『銭学森』。前者は、有名なすし屋「すきやばし次郎」についてのドキュメンタリー。後者は、中国のロケット開発の父とされる銭学森さんの伝記映画です。銭さんは第二次世界大戦前に米国に留学し、Caltechで博士号を取り、JPL(ジェット推進研究所)の創設にも関わります。その後Caltechのゴダード教授として弾道ミサイル制御の研究を行いますが、1950年代の「赤狩り」の時代に軟禁を受け、朝鮮戦争の米軍捕虜と交換で中国側に引き渡されます。そして、中国で核弾頭をつんだ誘導ミサイルの開発を指導することになります。中国の臆面もない「国威発揚映画」なので、米国の会社の旅客機の中で見るのも不思議なものです。
金曜日の飛行機でパサデナに戻り、Caltechのオフィスに行くと、岩波の雑誌『科学』の8月号が届いていました。
冒頭の科学時評に、『ヒッグス粒子と見られる新粒子ついに「発見」』と題した、私の3ページの解説記事が掲載されています。
7月4日にCERNでの発表があった後、7月5日に編集部から記事の依頼があり、3日後の7月8日に原稿を送りました。超光速ニュートリノ騒動があったときには、同じく『科学』の11月号のために、5日間で解説記事を仕上げて、超光速の執筆だとブログ記事に書きましたが、今回はそれよりも早い3日間でした。
岩波から届いた封筒を開けると、表紙に
『南部陽一郎と大栗博司が語るヒッグス粒子の「発見」』
とあり、畏れ多いことに、南部先生が私の記事に続いてコメントを書いていらっしゃいました。
南部先生の文章は、さすがに簡潔ながら要点をすべて押さえたものです。素粒子物理学における「対称性の自発的破れ」のパラダイムを建てられた南部先生の、ヒッグス粒子発見についての感想を、こうして読むことができることは、ありがたいことです。
by planckscale
| 2012-08-04 11:20