2013年 07月 11日
アスペン、その1 |
日曜日の夕方から、コロラド州の山の中のアスペンに来ています。
アスペン物理学センターは昨年50周年を迎えました。私は、1980年代の終わりごろから毎年のように来ていて、今年で20回目の夏になります。
来週の木曜日には、物理学センターのアウトリーチで、"What is Gravity?"と題した一般講演をします。タイトルは『重力とは何か』の英訳です。
月曜日の朝に物理学センターに行ったら、そのままアスペンの公共テレビ局に連れて行かれて、来週の講演会の広報のためにインタビューを受けました。週末にイタリアから戻ってきたばかりの時差ぼけの頭でしたが、インタビュアーの方は面白かったとおっしゃってくださいました。
インタビューのビデオは、ウェブでも見ることができます。
⇒ 来週の一般講演"What is Gravity?"のためのインタビュービデオ
"Watch Now"を押すと、ビデオがダウンロードされます。
火曜日には物理学センターの理事会があり、役員の選出や、来年のプログラムの予定、また財政状況についての議論がありました。
物理学センターは、主として全米科学財団からの補助金で運営されていますが、今年からサイモンズ財団からも補助が受けられるようになったのはよいニュースです。米国政府の科学予算も、先行きが不透明なので、研究所も資金源を多様化させておく必要があります。
アスペンでは今週から、「超共形場の理論の数理」と題したワークショップが始まりました。私が、テキサス大学のダン・フリードさん、アンドリュー・ナイツケさん、ラトガース大学のグレゴリー・ムーアさんと一緒に、主催しています。
水曜日の午前中には、この秋からハーバード大学の助教授になるダニエル・ジャフェリスさんと、Caltechの同僚のセルゲイ・グコフさんの講演がありました。
6次元の(0,2)理論を3次元空間にコンパクト化したときに、残りの3次元のチャーン・サイモンズ理論になるとの予想がありますが、ジャフェリスさんの講演は、これを第1原理から導く話でした。
また、グコフさんの話は、同じ6次元理論を、4次元空間にコンパクト化したときに現れる2次元理論についての話でした。
物理学センターは、アスペン音楽祭が開かれている野外コンサート会場に隣接しているので、しばしば音楽が聞こえてきます。ジャフェリスさんの講演が始まったときにも、コンサートのリハーサルで、ワグナー作曲の「ローエングリン序曲」が聞こえてきて、迫力がありました。
夕方にはコンサートに行きました。コンサート会場の外側は芝生になっていて、ピクニックをしながら音楽を聴くこともできます。今夏は、私の子供がアスペン音楽学校に入れていただいたので、父兄用の無料パスで会場に入れていただきました。
今日は音楽学校の生徒のオーケストラで、午前中に練習していた「ローエングリン序曲」の次に、ベートーベンのバイオリン協奏曲。ソリストは、生徒のコンペティションに優勝した18歳のスージン・チョーさん。若さにあふれた素敵な演奏でした。休憩をはさんで、最後はチャイコフスキーの交響曲第4番。生徒の皆さんの元気な演奏を楽しみました。
by planckscale
| 2013-07-11 14:35