2014年 11月 16日
大江健三郎さん+原広司さん+三浦雅士さんと座談会 |
千葉県の市原湖畔美術館で、小説家の大江健三郎さん、建築家の原広司さん、評論家の三浦雅士さんと「空間」について座談会をしました。
雑誌『ユリイカ』創刊に参画され、『現代思想』編集長として日本の「ニュー・アカデミズム」の火付け役ともなった三浦雅士さんは、拙著『重力とは何か』や『超弦理論入門』を、書評で取り上げてくださったり、評論で引用してくださったりしています。
JR京都駅や梅田スカイビルの設計でも有名な原広司さんは、『超弦理論入門』の「空間は幻想である」というメッセージに興味をもたれたようでした。建築家は、空間を考案することが仕事なので、空間は予め先立ってあるという感覚を持っていないのだそうです。
大江さんは、私の『重力とは何か』、『強い力と弱い力』、『超弦理論入門』を読んでくださっていたようで、お話でも引用してくださいました。
右の写真は、 昼食の時に大江さんが、ご自身の付箋やマーカーの傍線がたくさんついた拙著「重力とは何か」を取り出され、感想をおっしゃっているところです。
たとえば、『重力とは何か』の、標準模型の説明の、
「素粒子の研究に「模型(モデル)」を使うというのは不思議な言葉遣いですが、「標準模型」とは、どのような種類の素粒子が、どのように力を及ぼしあってミクロな世界を作っているかを、最新の実験のデータをもとにまとめた理論のことです。物理学では、自然の現象を数学の言葉に置き換えて説明することを「モデルを作る」といいます。要するに、「いま素粒子の世界はここまでわかった」と示す最先端のモデルが、標準模型なのです。」
という部分に興味を持たれて、大江さんご自身も、文学表現の標準模型を作ろうとしているとおっしゃっていました。
座談会では原さんが司会をされ、大江さん、三浦さん、私が話しをした後で、原さんが私に質問をされるという進行でした。
座談会の最後には、大江さんが、第2次世界大戦中には日本に(神風などの)神秘主義がはびこっていたが、戦後の日本社会では科学に対する期待と信頼が高まった。しかし、最近「反科学主義」が増長しているとことを憂えているというお話しをされ、文明を持続可能にするためには科学の力が必要だというお言葉に、私は強い感銘を受けました。
今回の座談会の記録は、岩波書店の雑誌『世界』(12月8日発売、新年号)に掲載される予定です。
下の写真は、座談会で、私が宇宙のダークマターについて説明をしていることです。
雑誌『ユリイカ』創刊に参画され、『現代思想』編集長として日本の「ニュー・アカデミズム」の火付け役ともなった三浦雅士さんは、拙著『重力とは何か』や『超弦理論入門』を、書評で取り上げてくださったり、評論で引用してくださったりしています。
JR京都駅や梅田スカイビルの設計でも有名な原広司さんは、『超弦理論入門』の「空間は幻想である」というメッセージに興味をもたれたようでした。建築家は、空間を考案することが仕事なので、空間は予め先立ってあるという感覚を持っていないのだそうです。
大江さんは、私の『重力とは何か』、『強い力と弱い力』、『超弦理論入門』を読んでくださっていたようで、お話でも引用してくださいました。
右の写真は、 昼食の時に大江さんが、ご自身の付箋やマーカーの傍線がたくさんついた拙著「重力とは何か」を取り出され、感想をおっしゃっているところです。
たとえば、『重力とは何か』の、標準模型の説明の、
「素粒子の研究に「模型(モデル)」を使うというのは不思議な言葉遣いですが、「標準模型」とは、どのような種類の素粒子が、どのように力を及ぼしあってミクロな世界を作っているかを、最新の実験のデータをもとにまとめた理論のことです。物理学では、自然の現象を数学の言葉に置き換えて説明することを「モデルを作る」といいます。要するに、「いま素粒子の世界はここまでわかった」と示す最先端のモデルが、標準模型なのです。」
という部分に興味を持たれて、大江さんご自身も、文学表現の標準模型を作ろうとしているとおっしゃっていました。
座談会では原さんが司会をされ、大江さん、三浦さん、私が話しをした後で、原さんが私に質問をされるという進行でした。
座談会の最後には、大江さんが、第2次世界大戦中には日本に(神風などの)神秘主義がはびこっていたが、戦後の日本社会では科学に対する期待と信頼が高まった。しかし、最近「反科学主義」が増長しているとことを憂えているというお話しをされ、文明を持続可能にするためには科学の力が必要だというお言葉に、私は強い感銘を受けました。
今回の座談会の記録は、岩波書店の雑誌『世界』(12月8日発売、新年号)に掲載される予定です。
下の写真は、座談会で、私が宇宙のダークマターについて説明をしていることです。
by planckscale
| 2014-11-16 13:51