2014年 12月 08日
一般相対論と量子もつれ |
来年2015年は、アインシュタインが1915年にベルリンのプロイセン科学アカデミーにおける連続講義で一般相対論を発表してから100年になります。
Caltechのアインシュタイン・ペーパー・プロジェクトは、プリンストン大学出版局とヘブライ大学のアインシュタイン・アーカイブと共同で、アインシュタインの著作集を編纂しています。これまで13巻が出版されていますが、その全巻がウェブで公開されました。
アインシュタインの論文や記事だけでなく、友人とやり取りした手紙や研究ノートまでが集められ、丁寧に整理・編集されており、注釈つきの英訳も見ることができます。
⇒ The Collected Papers of Albert Einstein
4年前に、アインシュタインの1922年の日本での講演の日本語の記録の翻訳について、アインシュタイン・ペーパー・プロジェクトのディレクターのダイアナ・ブッフバルドさんにご相談を受けたことがあります。それについては、当時、ブログ記事に書きました。アインシュタインが特殊相対論を発想したときに、マイケルソン‐モーレーの実験をどの程度知っていたのか、またそれにどの程度影響されたのか、という科学史の重要な問題に関わる質問でした。
この問題の箇所も、オンラインで見ることができます。
⇒ 「如何にして私は相対性理論を創ったか」 (雑誌 『改造』 1923年)
⇒ 英訳
アインシュタインは、相対論だけでなく、量子力学の創設と発展においても重要な役割を果たしています。
そもそも、アインシュタインのノーベル賞受賞理由は1905年に発表された光電子効果の理論で、これによりプランクが5年前に提唱していた光の粒、すなわち光子の概念が確立しました。これが、量子論のはじまりです。
しかし、アインシュタインは、量子力学のコペンハーゲン解釈には不満を持っていました。そして、その疑問を明確に表現するために、1935年にボリス・ポドルスキー、ネーサン・ローゼンとともに、「量子力学の物理的実在の記述は完全か?」と題した論文を発表します。
この論文でアインシュタインらが予言した「量子もつれ」の現象は、最近大きく進歩している量子コンピュータや量子情報の分野の基礎となっています。
さらに、アインシュタインの重力理論である一般相対論と、アイシュタインらが予言した量子もつれの現象との間にも、深い関係があることがわかってきました。
さて、Kavli IPMUは世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)という制度で設立された研究所ですが、このWPIの様々な研究所が高校生や一般の方々を対象に行うシンポジウム「サイエンスがつなぐキミのミライ」が、12月13日に有楽町朝日ホールで開かれるそうです。Kavli IPMUの村山斉機構長の講演もあります。定員600名で、まだ100名程度余裕があるそうです。
詳しくはこちらから。⇒ WPI合同シンポジウム
by planckscale
| 2014-12-08 11:56