2017年 09月 27日
ノーベル物理学賞予想記事 |
今月のはじめには、ニューヨークのサイモンズ財団の本部で開かれた「整数論、幾何学、ムーンシャインと弦理論」と題した研究会に参加しました。
左の写真は、シカゴ大学のジェフ・ハーベィさんによるコロキウム講演。「ムーンシャインとブラックホール」というタイトルで、ラマヌジャンの業績の紹介から、最近の弦理論の話題まで、うまくまとまった講演でした。今年の冬に、でもコロキウム講演をしていただくことにしました。
ニューヨークからロサンゼルスへの帰りには、トロントの近くのペリメータ研究所によっていきました。
右の写真は、ペリメータ研究所の中庭。研究者の交流を促進するさまざまな工夫が施してある、素敵な建物です。
Kavli IPMUプレスリリース:
日本文藝家協会の会員に選出されました。菊池寛を初代会長として大正15年に設立された文藝家協会が始まりだそうです。小説家の三田誠広さんと村上政彦さんからご推薦をいただいたとのことで、光栄に思います。
文藝とは言語で表現される芸術のことだそうなので、科学研究の成果を一般の方に分かりやすく表現する工夫をそのように認めていただけたのだと嬉しく思います。そうした工夫の甲斐のある研究成果を生み続けていくように、これからますます精進します。
Kavli IPMUが、プレスリリースを出してくださいました。
ノーベル賞予想記事:
さて、来週はノーベル賞授賞者の発表です。4年前にWEBRONZAの執筆を引き受けてから、毎年ノーベル物理学賞授賞者の予想記事を依頼されてきました。昨年は、「重力波の直接観測」に対する授賞を予想して外してしまったので、今年は遠慮しておこうと思いましたが、思い直して寄稿しました。
記事の最初の部分を公開します:
ノーベル物理学賞は今年こそ「重力波」
カルテクとMITが運営している重力波天文台LIGOは、2015年の9月14日に13億光年かなたのブラックホール合体から届いた重力波を検出し、2016年の2月12日(日本時間)に発表した。アインシュタインがちょうど1世紀前に予言した重力波を直接観測し、宇宙の観測に新しい窓を開いたことは、ノーベル賞に値する業績である。昨年授賞がなされなかったのは、重力波検出が正式に発表されたのが2月で、授賞選考の日程に間に合わなかったからだとも言われている。しかし、特別な発見があった場合には、選考日程に例外を設けることがあるとも聞いている。
本当の理由は、昨年の前半までは検出例がひとつだけだったので、観測に間違いがなかったのか選考委員会が確信を持てなかったことかもしれない。ノーベル賞のおかげで、スウェーデンの科学界は、そのサイズを上回る影響力を持つようになっている。ノーベル賞を授賞する権限はスウェーデンの大切な資産であり、その権威を保つのは国策としても重要である。少しでも不安があれば、授賞を延期するというのは自然な判断だろう。2014年3月に、初期宇宙の観測チームが、原始の重力波の痕跡を検出したとの発表をしたが、後に天の川銀河のなかのチリの効果を見間違ったことが分かって、発表を取り下げたとことがあった。そのため、重力波の検出に対する授賞にはとりわけ慎重だったのかもしれない。しかし、昨年の6月には2つ目、さらに今年の6月に3つ目の観測の発表があり、重力波の検出が正しく行われていることに疑問の余地はなくなった。
これまで発表された3件は、いずれもブラックホールの合体から発せられた重力波であった。しかし、LIGOの計画段階では …
⇒ この先はWEBRONZAの記事をご覧ください。
左の写真は、シカゴ大学のジェフ・ハーベィさんによるコロキウム講演。「ムーンシャインとブラックホール」というタイトルで、ラマヌジャンの業績の紹介から、最近の弦理論の話題まで、うまくまとまった講演でした。今年の冬に、でもコロキウム講演をしていただくことにしました。
ニューヨークからロサンゼルスへの帰りには、トロントの近くのペリメータ研究所によっていきました。
右の写真は、ペリメータ研究所の中庭。研究者の交流を促進するさまざまな工夫が施してある、素敵な建物です。
Kavli IPMUプレスリリース:
日本文藝家協会の会員に選出されました。菊池寛を初代会長として大正15年に設立された文藝家協会が始まりだそうです。小説家の三田誠広さんと村上政彦さんからご推薦をいただいたとのことで、光栄に思います。
文藝とは言語で表現される芸術のことだそうなので、科学研究の成果を一般の方に分かりやすく表現する工夫をそのように認めていただけたのだと嬉しく思います。そうした工夫の甲斐のある研究成果を生み続けていくように、これからますます精進します。
Kavli IPMUが、プレスリリースを出してくださいました。
ノーベル賞予想記事:
さて、来週はノーベル賞授賞者の発表です。4年前にWEBRONZAの執筆を引き受けてから、毎年ノーベル物理学賞授賞者の予想記事を依頼されてきました。昨年は、「重力波の直接観測」に対する授賞を予想して外してしまったので、今年は遠慮しておこうと思いましたが、思い直して寄稿しました。
記事の最初の部分を公開します:
ノーベル物理学賞は今年こそ「重力波」
カルテクとMITが運営している重力波天文台LIGOは、2015年の9月14日に13億光年かなたのブラックホール合体から届いた重力波を検出し、2016年の2月12日(日本時間)に発表した。アインシュタインがちょうど1世紀前に予言した重力波を直接観測し、宇宙の観測に新しい窓を開いたことは、ノーベル賞に値する業績である。昨年授賞がなされなかったのは、重力波検出が正式に発表されたのが2月で、授賞選考の日程に間に合わなかったからだとも言われている。しかし、特別な発見があった場合には、選考日程に例外を設けることがあるとも聞いている。
本当の理由は、昨年の前半までは検出例がひとつだけだったので、観測に間違いがなかったのか選考委員会が確信を持てなかったことかもしれない。ノーベル賞のおかげで、スウェーデンの科学界は、そのサイズを上回る影響力を持つようになっている。ノーベル賞を授賞する権限はスウェーデンの大切な資産であり、その権威を保つのは国策としても重要である。少しでも不安があれば、授賞を延期するというのは自然な判断だろう。2014年3月に、初期宇宙の観測チームが、原始の重力波の痕跡を検出したとの発表をしたが、後に天の川銀河のなかのチリの効果を見間違ったことが分かって、発表を取り下げたとことがあった。そのため、重力波の検出に対する授賞にはとりわけ慎重だったのかもしれない。しかし、昨年の6月には2つ目、さらに今年の6月に3つ目の観測の発表があり、重力波の検出が正しく行われていることに疑問の余地はなくなった。
これまで発表された3件は、いずれもブラックホールの合体から発せられた重力波であった。しかし、LIGOの計画段階では …
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by PlanckScale
| 2017-09-27 10:07