2009年 01月 06日
量子力学 |
今年の1月と2月は、カリフォルニア工科大学(Caltech)で学部学生のために量子力学の講義をします。今日が講義の初日でした。
量子力学と一般相対性理論は20世紀の物理学の金字塔であり、物理学科に入学した学生なら卒業までにぜひ修得しておきたい科目です。どちらも、私たちの日常の経験からかけ離れた世界をあつかうので、知的好奇心をそそられる一方、チャレンジングな科目でもあります。特に量子力学における観測問題は、いまだに専門家の間でも決着がついていないので、これを講義でどう説明するかは悩みの種です。
いわゆる「コペンハーゲン解釈」に沿って教えるのが標準とされていますが、この解釈では観測行為を特別の規則であつかうので、首尾一貫していない印象を受けます。この解釈の背景には、量子力学は原子レベルの現象を記述するものなので、極微の世界とマクロな観測者を別々にあつかっても問題はないという実用主義がありました。しかし、最近ではマクロな対象についても量子力学が使われるようになりました。たとえば、CaltechとMITが共同で運営しているレーザー干渉型重力波観測所(LIGO)の将来計画では、40キログラムもの大きな鏡の全体を量子状態に保つことを考えています。また、初期宇宙についてのインフレーション理論は、宇宙全体に量子力学を適応しますが、この理論の予言である宇宙背景輻射の揺らぎは、マイクロ波の観測によって見事に実証されています。量子力学はもはや極微の世界だけの理論ではないので、「コペンハーゲン解釈」も考え直す必要があるかもしれません。
これに対して「多世界解釈」は、観測対象と観測者を区別せず、論理的に貫徹することを目指すので、隠れファンも多いようです。私はこの解釈から、実験でも確かめられている量子力学の確率的性質がどのように導かれるかを理解していないので、学部生向けの授業で取り上げるのには躊躇します。
一昨年惜しくもお亡くなりになったシドニー・コールマンさんは、場の量子論において数々の重要な業績を残されましたが、その講義が明快なことでもよく知られていました。コールマンさんが量子力学について行った講演のビデオがあります。上の写真をクリックするとビデオにつながります。わたしばバークレイにいたときに、同じ講演を物理学科のコロキウムで聞きました。この講演の後半は「多世界解釈」についてのもので、コールマンさん一流の見事な説明です。
量子力学と一般相対性理論は20世紀の物理学の金字塔であり、物理学科に入学した学生なら卒業までにぜひ修得しておきたい科目です。どちらも、私たちの日常の経験からかけ離れた世界をあつかうので、知的好奇心をそそられる一方、チャレンジングな科目でもあります。特に量子力学における観測問題は、いまだに専門家の間でも決着がついていないので、これを講義でどう説明するかは悩みの種です。
いわゆる「コペンハーゲン解釈」に沿って教えるのが標準とされていますが、この解釈では観測行為を特別の規則であつかうので、首尾一貫していない印象を受けます。この解釈の背景には、量子力学は原子レベルの現象を記述するものなので、極微の世界とマクロな観測者を別々にあつかっても問題はないという実用主義がありました。しかし、最近ではマクロな対象についても量子力学が使われるようになりました。たとえば、CaltechとMITが共同で運営しているレーザー干渉型重力波観測所(LIGO)の将来計画では、40キログラムもの大きな鏡の全体を量子状態に保つことを考えています。また、初期宇宙についてのインフレーション理論は、宇宙全体に量子力学を適応しますが、この理論の予言である宇宙背景輻射の揺らぎは、マイクロ波の観測によって見事に実証されています。量子力学はもはや極微の世界だけの理論ではないので、「コペンハーゲン解釈」も考え直す必要があるかもしれません。
これに対して「多世界解釈」は、観測対象と観測者を区別せず、論理的に貫徹することを目指すので、隠れファンも多いようです。私はこの解釈から、実験でも確かめられている量子力学の確率的性質がどのように導かれるかを理解していないので、学部生向けの授業で取り上げるのには躊躇します。一昨年惜しくもお亡くなりになったシドニー・コールマンさんは、場の量子論において数々の重要な業績を残されましたが、その講義が明快なことでもよく知られていました。コールマンさんが量子力学について行った講演のビデオがあります。上の写真をクリックするとビデオにつながります。わたしばバークレイにいたときに、同じ講演を物理学科のコロキウムで聞きました。この講演の後半は「多世界解釈」についてのもので、コールマンさん一流の見事な説明です。
by planckscale
| 2009-01-06 00:00









