2009年 01月 30日
ニュートリノ |
数物連携宇宙研究機構(IPMU)は、スーパーカミオカンデでの研究にも関わっているので、3時のお茶の時間にニュートリノの話題になることがあります。私などは、ビッグバンからのニュートリノを観測する方法はないかなどと言って笑われたりしています。ニュートリノは、物質との相互作用が弱いので、地球ですら簡単に通り抜けてしまいます。左の写真は、光ではなく、ニュートリノを使って撮影した太陽の写真です。神岡鉱山茂住坑の地下1キロメートルに設置された5万トンの水槽を使って、500日以上、日夜をかけて撮ったものだそうです。日「夜」ということは、日本が夜の間は、地球の反対側から突き抜けてきたニュートリノを捉えていたという意味です。
ニュートリノの話を書いたのは、ジョン・アップダイクが亡くなったからです。アップダイクと言えば「ウサギ」の4部作が有名ですが、物理学者の間では「ニュートリノの詩」も評判でした。1960年に雑誌『ニューヨーカー』に書かれたものです。夜中にネパールから入ってきたニュートリノが、恋人たちの眠るベットを突き抜けるというところが、ニュートリノの性質をうまくとらえていると思いました。アップダイクによると、そういうことをするのは下品だそうですが。
詩の2行目に、ニュートリノには質量がないと書いてあります。しかし、1998年のスーパーカミオカンデの実験によって、ニュートリノは質量を持つことが分かりました。ただ、その質量は他の素粒子の質量と比べて桁違いに小さいので、その説明には「素粒子の標準模型」を超える理論が必要なのではないかと思われています。たとえば、ニュートリノの質量とプランクエネルギーの幾何平均(積の平方根)が、およそ「標準模型」に典型的なエネルギーになることに意味があるのではないかと考えている研究者もいます。ニュートリノの質量は、プランクスケールの物理のヒントを与えているのかもしれません。
「走れ、ウサギ」の出版と同じ年、アップダイクが28歳のときの作品です。お楽しみください:
Cosmic Gall
-John Updike-
Neutrinos, they are very small.
They have no charge and have no mass
And do not interact at all.
The earth is just a silly ball
To them, through which they simply pass,
Like dustmaids through a drafty hall
Or photons through a sheet of glass.
They snub the most exquisite gas,
Ignore the most substantial wall,
Cold-shoulder steel and sounding brass,
Insult the stallion in his stall,
And scorning barriers of class,
Infiltrate you and me! Like tall
And painless guillotines, they fall
Down through our heads into the grass.
At night, they enter at Nepal
And pierce the lover and his lass
From underneath the bed-you call
It wonderful; I call it crass.
by planckscale
| 2009-01-30 12:47









