2009年 02月 14日
サンタバーバラ その3 |

今日は、KITPでカリフォルニア大学バークレイ校の名誉教授であるスタンレー・マンデルスタムさんの80歳の誕生日をお祝いする会議が開かれました。私は1994年から2000年まで、バークレイでマンデルスタムさんの同僚でした。会議ではマンデルスタムさんの様々な業績が語られるとともに、それから発展した最近の成果についての報告がありました。マンデルスタムさんは:
30歳代には、バークレイでジェフェリー・チュウさんとともにS行列理論の発展に中心的な役割を果たされました。マンデルスタム関係式の解としてベネチアノ振幅が発見され、これが弦理論の始まりとなりました。(グロスさんの講演:グロスさんはベネチアノさんが弦理論の父ならマンデルスタムさんは弦理論の祖父だと言っていました。)
40歳代の前半には弦理論の振幅の計算を発展させ(加來さんからのメッセージ)、
40歳代の後半には場の量子論のボーズ・フェルミ双対性(ゾンマーフィールドさんの講演)やQCDの閉じ込めの機構(ポルチンスキーさんの講演)などで斬新な構想を展開し、その後の場の量子論の発展に大きな影響を与えました。
50歳代の前半には超対称性理論の光円錐ゲージによる量子化とそれを使ったN=4超対称性を持つゲージ理論の有限性の証明(ブリンクさんとラモンさんの講演)。
50歳代の後半には超弦理論の振幅の計算を整備して、
60歳代には超弦理論の摂動展開の有限性を証明しました(ベルコビッツ君の講演)。
理論物理学者の学者生命は20歳代で終わりだと言われることがありますが、マンデルスタムさんは明らかな反例です。
大学院生だったポルチンスキーさんとベルコビッツ君の回想は、いずれもマンデルスタムさんの出す課題が本質的で深い、しかし学生には難しすぎるものだったという主題でした。たとえば、ポルチンスキーさんが最初に与えられた練習問題は電荷をもった粒子と磁荷を持った粒子の両方が存在する理論の構成で、これは18年後にアルジリスさんとダグラス君が解きました。また、博士論文の課題であったトフーフト・ループの構成は、22年後にCaltechのカプスチン君によってようやく完成されました。ポルチンスキーさんは、大学院を卒業しても難しい問題に取り組む癖が抜けず、ハーバード大学で2度目のポストドクトラル・フェローをしているときに、ハワード・ジョージアイさんに「解けそうな問題をやってもいんだよ。」と言われたという話を披露していました。
素粒子物理学理論の広い分野にわたって独創的で深い成果をあげられ、また、ポルチンスキーさんやベルコビッツ君など一流の研究者を育てられ、学者として最高の人生を歩まれたと思います。お会いするのは6年ぶりぐらいですが、20年前にはじめてお会いした時と全く変わらないお元気なご様子でした。マンデルスタムさん、80歳のお誕生日おめでとうございます。これからも、お身体を大切にされて、ご活躍ください。
by planckscale
| 2009-02-14 16:44









