2009年 04月 30日
博士候補者資格試験 |
米国の大学では、博士課程の大学院生は入学して、指導教官が決まり博士論文の研究計画が決まると、博士候補者資格試験(Doctoral Candidacy Examination)を受けなければいけません。これに受かって初めて研究室の一員と認められ、博士論文の完成に向けて研究をすることになります。あくまで「博士候補者」なので、博士論文を書いた後に、その論文が博士号に値することを示す試験をもう一度受けなければなりません。これは、博士号防衛(Doctoral Defence)と呼ばれます。居並ぶ教授の攻撃をかわして博士論文の正当性を防衛したものだけが博士号を得ることができるという意味です。
今日は私の大学院生の一人のチューダー・ディモフテ君の博士候補者資格試験がありました。Caltechでは資格試験は口頭で行われます。試験の前半は、これまでしてきた研究と博士論文の研究計画の概要の説明し、後半は質疑応答です。質疑の時間には、本人の研究に必ずしも関係しない、物理学の教養を試す質問もします。ディモフテ君は、最近セルゲイ・グコフさんと仕上げた「壁超え公式の細密化」の論文を中心に話をしました。しっかりとしたプレゼンテーションで、文句なしの合格でした。ディモフテ君は、5月に柏のIPMUで予定されている「新しい不変量と壁超え」のフォーカス・ウィークにも参加して、講演をする予定になっています。
今日は、この他に、グループ・ミーティングで、アンドレイ・ミハイロフ君がベルコビッツ君の純粋スピノルについて話をしてくれました。この話は何度も聞いているので、門前の小僧でも習わぬ経が読めるようになりました。
by planckscale
| 2009-04-30 12:19