2009年 05月 02日
都市の統一理論 |
昨日のコロキウムは、サンタフェ研究所所長のジェフェリー・ウエストさんでした。サンタフェ研究所は複雑系の研究のために、ゲルマンさんらが25年前に設立した研究所です。複雑系の正確な定義は知りませんが、基本原理からトップダウンで説明することが難しい現象の理解のために新しい方法を開発するという試みのことだと思います。ウエストさんの話は10年ほど前に聞いたことがあって、そのときには生物のスケール則についての話でした。哺乳類の基礎代謝率は体重の3/4乗に比例するというクライバーの法則があって、これは数グラムのネズミから200トンもするシロナガスクジラにまで成り立つ経験法則だそうです。ウエストさんはこの現象を血管のネットワークが枝分かれしていく様子から説明しました。哺乳類の単位体重あたりの代謝率が質量の1/4に反比例すると言ってもよいので、体が大きくなるほど細胞あたりの効率がよくなります。たとえば心拍数は体重の1/4に反比例します。一方、哺乳類の寿命は体重の1/4に比例するので、これから全ての哺乳類の一生の間の心拍数は種類によらず同じ数、およそ10億泊になるそうです。
さて、昨日は同じようなスケール則が社会現象にも成り立つかという話でした。都市の代謝率と言うのを、GDPや人の歩く速さなどのいろいろな指数で定義してみると、指標ごとにある定数cがあって、代謝率は人口の(1+c)乗に比例する。しかも、多くの指数についてcは正の数になるそうです。つまり、哺乳類の場合と逆に、1人当たりの代謝率は人口のc乗に比例して大きくなると言うことです。世界各地のいろいろなサイズの都市で調べたところ、cの値がかなり一定しているので、哺乳類の代謝率のようになにか普遍的な説明があるのではないかという話でした。
哺乳類の場合には、体重が増えるほど細胞あたりの代謝率が減るのである体重で成長が鈍るのですが、都市の場合には成長するにつれ代謝率がどんどん増加するので人口増加が止まらないことになるという解釈をしていました。
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今日の理論セミナーはケンブリッジ大学のニック・ドリーさんで、AdS/CFT対応がスピンの大きい状態でどのように成り立っているのかを詳しく調べる話でした。トホーフト結合定数が大きいときでも小さいときでも、状態のエネルギーが同じ種類のリーマン面を使って計算できるとのことでした。
午後には飛び入りで、ハーバード大学のビンセント・ボーシャードさんが、バッファさんたちと書いたF-理論の論文についてセミナーをしてくれました。クォークの混合行列とニュートリノの混合行列が異なるパターンを示す理由を、8次元のカラビ・ヤウ多様体とその中のブレーンの幾何学的性質から説明しようとする意欲的な話でした。
by planckscale
| 2009-05-02 12:41









