2009年 07月 02日
サンタバーバラ: 2日目 |
これは、KITPの中庭にある黒板の写真ですが、ニューハンプシャー州で採掘された粘板岩(スレート)だそうで、独特の質感があります。今回のプログラムには、スタンフォード大学からカリフォルニア大学サンタバーバラ校に移籍してきたばかりの、エバ・シルベシュタインさんとシャミット・カチュルさんも参加されています。サンタバーバラ校への正式の着任は今日だったのではないでしょうか。
KITPの歴史の中で最も参加希望者が殺到したプログラムだそうで、希望者4人のうち1人しか入れなかったのだそうです。それだけ、この分野が盛り上がっていると言うことですね。AdS/CFTを本格的に理解したいという物性物理学の研究者もたくさんいらしています。
というわけで、今日の午前中はMITのジョン・マクグリビーさんがAdS/CFT入門講義をしました。最初に、ランダム行列模型の1/N展開をすると、展開の各項と弦理論の摂動展開とが似た形になるということを説明していました。あとで、昼食のときに、物性物理学者の人から、ランダム行列の1/N展開を実際に再現する弦理論は存在するのかと聞かれました。この点は、マクグリビーさんが説明していなかったのです。
そこで、その答えはちゃんとわかっていて、カラビ・ヤウ多様体上のトポロジカルな弦理論になるのだと説明しました。これは余り知られていないようで、横に座っていたゲリー・ホロビッツさんが、「えっ、そうなの。」と言ったのには、逆に驚きました。また、ジョー・ポルチンスキーさんが「ダブル・スケールリング極限を取るんでしょう。」と言っていましたが、ダブル・スケーリングを取らなければいけないというのは前世紀の理解で、極限を取らなくても、ランダム行列理論の1/N展開がちゃんと弦理論になっているというのが今世紀の理解です。
午後は、コロラド大学のマイク・ハーメルさんによる、量子臨界現象入門講義でした。ボゾン型のハバード模型から始めて、これをスピン模型に書き直すと、ランダウ‐ギンツブルグ‐ウィルソンのパラダイムでは説明の出来ない臨界現象が現れるということを丁寧に説明してくださいました。ハバード模型をスピン模型に書き直すときに、まったく等価な模型でないので、弦理論の聴衆の間ですこし混乱がありました。このようなときに、ある分野で常識的に行われている手続きが、違う分野では当たり前でないということがわかります。
夕方は、プログラムの参加者で、インド料理を食べに行きました。レストランでも、物性物理学と弦理論の研究者が混ざって座って、いろいろためになる話を聞くことができました。
by planckscale
| 2009-07-02 14:47









