2009年 07月 14日
デイビッド・グロスさん |
今日はまたサンタ・バーバラに来ています。先々週来たときには、トパンガ渓谷を通ってきましたが、今日は時間的に通勤ラッシュにかかりそうだったので、サンフェルナンド・バレーの渋滞を避けるために、北に迂回をしてシミ・バレーを通ってきました。途中にはカリフォルニアの原風景が残っているところもあり、高速道路もすいていて快適でした。シミ・バレを貫くロナルド・レーガン・フリーウェーの終点にはレーガン元大統領の記念図書館があり、これを越えるとベンチュラ・フリーウェーに合流します。
サンタバーバラに来たのは、KITP所長のデイビッド・グロスさんのインタビューをするためです。60年代の素粒子物理学の状況、ノーベル賞を受賞された漸近自由性の発見の経緯、第1次超弦理論革命前夜の話など科学史としても興味深いお話をお聞きし、またKITPの所長としての経験に基づいた異分野連携への助言もいただきました。インタビュー記事はIPMUニュースの12月号に掲載される予定です。
AdS/量子臨界現象のワークショップが続いて、お昼には所長主催のブラックボード・ランチがありました。3つのワークショップが同時進行しているので、ワークショップの代表者が交互に別の2つのワークショップの人のために、スライドを使わないで黒板でわかりやすく話をして、異分野の交流を高めようという趣旨の会です。私も、1998年と2005年に話をする機会をいただきました。
1998年のブラックボード・ランチで話をしたときには、「ボーズ・アインシュタイン凝縮」のプログラムが並行して走っていて、後にノーベル賞を受賞された先生もいらっしゃいました。超対称性のある理論では、固定点からの寄与だけで計算できる物理量があるという説明をしたら、先生が、「対称性の固定点からしか寄与がないというのは妙だ。」とおっしゃったので、「ボーズ・アインシュタイン凝縮では、回転対称性の固定点である運動量空間の原点だけが利きますね。」と答えたら、かなり受けていました。私は忘れていたのですが、今回のプログラムに来ている物性理論の人と話をしていたら、そのときのことをまだ憶えていらっしゃいました。
今日のブラックボード・ランチはショーン・ハートノルさんで、ポルチンスキーさんが1994年に書いた論文の題名"What is string theory?"をもじって、"What is string theory for?"と題していました。講義室は満員で、立ち見も出るほどで、物性物理学者の人の興味のレベルが高いことがわかります。今は高温超伝導のプログラムも走っているのですが、グロスさんによると、そっちのほうの参加者の中にもAdS/量子相転移のプログラムのセミナーに出ている人が何人もいるようです。
午後はシャミット・カチュルさんの学生のマイケル・ムリガンさんのリフシッツ型の臨界現象のホログラフィックな記述の話でした。私は、この種の話に現れる時空間で、潮汐力が発散する場所があることが気になっていたのですが、境界で摂動をしてやると特異性が解消されるという点がうまくできていると思いました。
サンタバーバラに来たのは、KITP所長のデイビッド・グロスさんのインタビューをするためです。60年代の素粒子物理学の状況、ノーベル賞を受賞された漸近自由性の発見の経緯、第1次超弦理論革命前夜の話など科学史としても興味深いお話をお聞きし、またKITPの所長としての経験に基づいた異分野連携への助言もいただきました。インタビュー記事はIPMUニュースの12月号に掲載される予定です。
AdS/量子臨界現象のワークショップが続いて、お昼には所長主催のブラックボード・ランチがありました。3つのワークショップが同時進行しているので、ワークショップの代表者が交互に別の2つのワークショップの人のために、スライドを使わないで黒板でわかりやすく話をして、異分野の交流を高めようという趣旨の会です。私も、1998年と2005年に話をする機会をいただきました。
1998年のブラックボード・ランチで話をしたときには、「ボーズ・アインシュタイン凝縮」のプログラムが並行して走っていて、後にノーベル賞を受賞された先生もいらっしゃいました。超対称性のある理論では、固定点からの寄与だけで計算できる物理量があるという説明をしたら、先生が、「対称性の固定点からしか寄与がないというのは妙だ。」とおっしゃったので、「ボーズ・アインシュタイン凝縮では、回転対称性の固定点である運動量空間の原点だけが利きますね。」と答えたら、かなり受けていました。私は忘れていたのですが、今回のプログラムに来ている物性理論の人と話をしていたら、そのときのことをまだ憶えていらっしゃいました。
今日のブラックボード・ランチはショーン・ハートノルさんで、ポルチンスキーさんが1994年に書いた論文の題名"What is string theory?"をもじって、"What is string theory for?"と題していました。講義室は満員で、立ち見も出るほどで、物性物理学者の人の興味のレベルが高いことがわかります。今は高温超伝導のプログラムも走っているのですが、グロスさんによると、そっちのほうの参加者の中にもAdS/量子相転移のプログラムのセミナーに出ている人が何人もいるようです。
午後はシャミット・カチュルさんの学生のマイケル・ムリガンさんのリフシッツ型の臨界現象のホログラフィックな記述の話でした。私は、この種の話に現れる時空間で、潮汐力が発散する場所があることが気になっていたのですが、境界で摂動をしてやると特異性が解消されるという点がうまくできていると思いました。
by planckscale
| 2009-07-14 13:42