2009年 10月 19日
『グルメ』廃刊 |
コンデ・ナスト社出版の雑誌『グルメ』が廃刊になったそうです。1941年創刊の伝統ある料理雑誌で、ニューヨーク・タイムズ誌の扱いは著名人の追悼記事のようです。また論説欄には、調理法を科学的に分析する雑誌『クック』の編集長のクリストファー・キンバルさんが『グルメ』廃刊について長文の論説を寄稿していらっしゃいます。コンデ・ナスト社は料理関係の雑誌として『グルメ』誌と『ボナペティ』誌を持っていて、出版不況のためそのうち一誌は廃刊になるのではないかといわれていましたが、『グルメ』誌が廃刊になるとは驚きました。『ボナペティ』誌の方が簡単な料理を載せていたので、購読者数は多かったようです。
今週のニューヨークタイムズ誌日曜版では、デボラ・ソロモンさんが、解雇されたルース・レイシュル編集長をインタビューしています。『グルメ』誌には、『ニューヨーカー』誌と同じぐらいの購読者数があったそうです。『ニューヨーカー』誌もコンデ・ナスト社の出版ですが、まさかこれまで廃刊になるということはないでしょうね。
『グルメ』誌は、かつてはM. F. K. フィッシャーが記事を書き、サミュエル・チェンバレンの「クレメンタインの台所」が最初に掲載されたのもこの雑誌です。最近でも、旅行記など読み応えのある記事があって楽しみにしていたのに残念なことです。
先日お亡くなりになった海老沢泰久さんによる辻静雄さんの伝記『美味礼賛』によると、辻さんがフランス料理の海外武者修行に出かけたときに最初にお会いになったのがフィシャーとチェンバレンだったそうです。この本は、18年ぐらい前に出版されたとき読んだのですが、文庫本になっていたのでまた眺めてみました。特に辻さんが本場のフランス料理を発見される前半の部分は、『坂の上の雲』のような勢いがあります。単行本では丸谷才一さんの名文が解説として掲載されていたように憶えていますが、あれはどうなったのでしょうか。『グルメ』誌の廃刊に戻ると、キンバルさんの論説はインターネットの発達のために、深い考察や高い技量が軽んじられる傾向を嘆いています。私の専門の理論物理学でも、電子プレプリントのアーカイブが始まってから、論文の書き方のみならず、研究のスタイルも様変わりしました。これについては、別な機会に書きたいと思います。
by planckscale
| 2009-10-19 07:40









