2009年 12月 14日
財務省 対 文部科学省 |

裏庭の菜園ではカブが大きく育ってきました。早速収穫して、夕食においしくいただきました。冬にはレモンもたくさん実ります。
今日はお隣の家のパーティに行きました。お隣はCaltechの結晶学者のエドワード・ヒューズさんのお家でした。私たちがパサデナに来たときにはエドワードさんはお亡くなりになっていて、奥様のルースさんがひとりでお住まいでしたが、ルースさんも今年のはじめにお亡くなりになりました。ヒューズさんご夫妻はお家をCaltechに遺贈されており、この春にCaltechが売りに出しました。これを買ったのが今のお隣さんで、自己紹介を兼ねて近所の人を呼んだパーティをなさったというわけです。
ご主人は南カリフォルニア大学で寄付金を集める係りの副学長をなさっているそうです。私立大学では重要な役職ですね。ご近所の人たちがたくさん集まって楽しいパーティでした。私たちは早めに失礼しましたが、その後もしばらくのあいだ子供たちの歓声や音楽が聞こえてきました。
今週末は雨だったのでいろいろな文献を読みました。日本の学術雑誌の多くを国立情報学研究所のウェブサイトで読めるようになったので便利です。2008年度のノーベル物理学賞の解説記事を岩波書店の雑誌『科学』に寄稿したときにも、このウェブサイトにはお世話になりました。
日本物理学会誌を眺めていたら、学会ニュースの欄に、私の昨年のアイゼンバッド賞と今年のフンボルト賞についての記事が掲載されていました。アイゼンバッド賞についての記事は、江口徹さんに書いていただき恐縮です。フンボルト賞についての記事は、大学院のときに同級生だった菅野浩明さんが書いてくださいました。
菅野さんの記事には「個人的にはChern-Simons理論に関連するゲージ・弦理論対応からリンク不変量に関する全く新しい観点をあたえたVafa氏との共同研究に心惹かれる」とありました。この論文は私も気に入っているので、触れていただいてうれしかったです。また、「私事で恐縮ですが」として、大学院生のときに「当時出版されたばかりの」Wess-Baggerの教科書の輪講をしたことも書いてあり、懐かしいです。この輪講をご指導くださったのは中西襄さんでした。そういえば、当時来日されたWessさんに私たちの作った正誤表をお渡ししましたね。
同じページには、江口さんの恩賜賞と日本学士院賞受賞についての加藤晃史さんによる記事も掲載されていました。加藤さんの記事では、江口さんの数々の輝かしい業績が紹介された後、「もし江口先生が居られなければ、日本の数理物理研究者の層は今ほど厚みを持たず、また数学と物理学の交流も非常に限られたものになっていたことでしょう」とあります。全くその通りだと思います。
話は変わりますが、文部科学省のウェブページを見てみたら、財務省が12月3日に発表した「文部科学省の予算についての論点」に対する反論が掲載されていました。
財務省の発表では各国の科学技術予算の比較に国防費が含まれていなかったので疑問に思っていたのですが、文部科学省の反論では国防費の中の科学技術予算も含めた比較がなされています。たとえば、米国の国防高等研究計画局(DARPA)は、整数論のラングランズ・プログラムの研究にも予算を出しています。以前に書きましたように、天体観測に使われる補償光学も米国国防省の研究の成果です。もっと社会全体に影響のあるところでは、DARPAはインターネットの生みの親でもあります。私がはじめて使ったインターネットも、DARPAが設置したARPANETでした。Caltechでもいろいろな基礎科学研究に国防省から資金が使われています。たとえば私に身近なところでは量子コンピュータのグループがあります。このような研究資金を科学技術予算に含めて比較するのは正しいと思います。
このような省庁間の議論がウェブページで公開されて誰でも簡単に見ることができるのはよいことだと思います。
事業仕分けについての文部科学省の意見募集は12月15日が締め切りだそうです。意見の送り先はnak-got[at]mext.go.jp ([at]を@にかえて下さい)です。この件についてのIPMUの村山斉機構長のメッセージはこちらで読むことができます。IPMUを応援していただける場合には、文部科学省へのメールの件名を『No.14「競争的資金(外国人研究者招へい)」WPI』としてください。
昨日の『現代数理科学事典』の記事について、丸善書店の方からコメントをいただきました。出版おめでとうございます。ご健闘をおいのりします。
by planckscale
| 2009-12-14 15:14









