2009年 12月 18日
インフルエンザと暗黒物質 |
昨日、主治医から新型インフルエンザのワクチンが入荷したとの連絡がありましたので、今日予防接種を受けてきました。米国では十分なワクチンがあるということで、一昨日から一般の人たちも予防接種を受けられるようになりました。これで、来月日本に行くときにも安心です。
5月に日本に行ったときには、新型インフルエンザを日本に入れないために極端な検疫を行っていて、飛行機の機内に感染者がいるとその周りの人も10日間隔離されることになっていたので、帰国するときにひやひやしました。また、IPMUで組織した国際会議でも、参加者全員の体温を計ったり、全員にマスクを着用させる必要がありました。
その後の経過からすると、私の素人目には、このような対応はほとんど無意味だったように見えます。しかも、そのために企業や学校の活動が妨げられたり、また国際会議などの国際交流がキャンセルになったりもしました。IPMUでは、みなさんのご尽力で会議を無事開催することができましたが、特に事務の方々には大変な思いをさせました。日本全体でも、大量の資源をつぎ込み、経済活動にも支障があったであろうと思います。
しかしその後になって、このような対応が適当であったのかどうかの調査報告を、新聞や雑誌で見かけていないのが不思議です。私は日本を出たり入ったりしているので、見逃しているのかもしれませんが。この経験を将来の疫病の広域感染予防に役立てるためには、今回の対応の成功と失敗をきちんと検証しておく必要があると思います。5月ごろの騒ぎのときのエネルギーの何十分の1でも使えばできることなのではないでしょうか。(5月には散々な目にあったので、ちょっときつい調子の文章になっています。)
騒ぎといえば、今日の午後には暗黒物質の直接検出を目指すCDMSのグループの発表がありました。2週間ほど前から、CDMSが暗黒物質を検出したといううわさが流れました。朝日新聞でも記事になりましたが、冷静な内容で、これはさすがだと思いました。
というわけで、Fermilabでのセミナーをインターネットで視聴していましたが、途中からどうやら発見ではないという様子になってきたので、Caltechの同じ階にオフィスがあるショーン・キャロルさんたちがやっているブログでの生中継に切り替えて、ちらちら眺めながら、自分の研究の計算をしていました。後で聞いたら、キャロルさんのブログは、セミナーの1時間の間に6000回のヒットがあったそうです。
結果は、暗黒物質らしきものが2回検出されたとのことでした。しかし、事前のデータ解析から暗黒物質でなくとも似た反応が平均して1回は起こるということがわかっていたので、暗黒物質でなかった可能性が1/4あることになります。この分野では、偶然に起こる確率が3/1,000以下(3シグマ)でなければ「観測」とは呼ばず、「発見」と呼ばれるためにはである6/10,000,000以下(5シグマ)である必要があります。もちろん本当に見つかれば、標準模型にない新物質の発見なので、革命的なことです。
CDMS-IIの実験はこれで終了して、2010年の夏までには検出器を3倍にして実験を再開するそうです。また、日本の神岡観測所のキセノンを使ったXMASS実験もあり、これからが楽しみです。
5月に日本に行ったときには、新型インフルエンザを日本に入れないために極端な検疫を行っていて、飛行機の機内に感染者がいるとその周りの人も10日間隔離されることになっていたので、帰国するときにひやひやしました。また、IPMUで組織した国際会議でも、参加者全員の体温を計ったり、全員にマスクを着用させる必要がありました。
その後の経過からすると、私の素人目には、このような対応はほとんど無意味だったように見えます。しかも、そのために企業や学校の活動が妨げられたり、また国際会議などの国際交流がキャンセルになったりもしました。IPMUでは、みなさんのご尽力で会議を無事開催することができましたが、特に事務の方々には大変な思いをさせました。日本全体でも、大量の資源をつぎ込み、経済活動にも支障があったであろうと思います。
しかしその後になって、このような対応が適当であったのかどうかの調査報告を、新聞や雑誌で見かけていないのが不思議です。私は日本を出たり入ったりしているので、見逃しているのかもしれませんが。この経験を将来の疫病の広域感染予防に役立てるためには、今回の対応の成功と失敗をきちんと検証しておく必要があると思います。5月ごろの騒ぎのときのエネルギーの何十分の1でも使えばできることなのではないでしょうか。(5月には散々な目にあったので、ちょっときつい調子の文章になっています。)
騒ぎといえば、今日の午後には暗黒物質の直接検出を目指すCDMSのグループの発表がありました。2週間ほど前から、CDMSが暗黒物質を検出したといううわさが流れました。朝日新聞でも記事になりましたが、冷静な内容で、これはさすがだと思いました。
というわけで、Fermilabでのセミナーをインターネットで視聴していましたが、途中からどうやら発見ではないという様子になってきたので、Caltechの同じ階にオフィスがあるショーン・キャロルさんたちがやっているブログでの生中継に切り替えて、ちらちら眺めながら、自分の研究の計算をしていました。後で聞いたら、キャロルさんのブログは、セミナーの1時間の間に6000回のヒットがあったそうです。
結果は、暗黒物質らしきものが2回検出されたとのことでした。しかし、事前のデータ解析から暗黒物質でなくとも似た反応が平均して1回は起こるということがわかっていたので、暗黒物質でなかった可能性が1/4あることになります。この分野では、偶然に起こる確率が3/1,000以下(3シグマ)でなければ「観測」とは呼ばず、「発見」と呼ばれるためにはである6/10,000,000以下(5シグマ)である必要があります。もちろん本当に見つかれば、標準模型にない新物質の発見なので、革命的なことです。
CDMS-IIの実験はこれで終了して、2010年の夏までには検出器を3倍にして実験を再開するそうです。また、日本の神岡観測所のキセノンを使ったXMASS実験もあり、これからが楽しみです。
by planckscale
| 2009-12-18 15:23









