2010年 03月 01日
地下鉄とポアンカレ予想 |
金曜日にはディズニー・コンサート・ホールにジョシュア・ベルさんのバイオリン演奏を聞きに行きました。郎朗(ラン・ラン)さんやベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会のときと同様に、ほぼ満員。最近はクラッシック音楽愛好家が高齢化していると聞いているので、コンサート会場が満員になるのを見ると心強いです。ベルさんの演奏は繊細で、私には特に後半のシューマンのソナタがよかったです。ベルさんは、数年前にワシントン・ポスト紙の企画で、ワシントンDCの地下鉄の駅でストリート・ミュージシャンのふりをして演奏をしたらどうなるかという実験をなさいました。ご自分の3億円相当のストラディバリウスでバッハのパルティータから『シャコンヌ』などを演奏されました。朝のラッシュ時で1000人以上が通り過ぎたのに、立ち止まって聴いたのはほんの数名。1時間弱の演奏で集まったのはたったの32ドル17セントだったそうです。(1セントだまを投げた人もいたのですね。)
ピューリッツァー賞を受賞したワシントン・ポスト紙の記事はこちらにあります。隠しカメラによる撮影ビデオも掲載されています。これからどういう教訓を引き出したらよいのかはわかりませんが。
ポアンカレ予想を証明したグリーシャ・ペレルマンさんの生い立ちと証明をめぐる騒動について書かれた『完全なる証明』を読みました。数学についての記述は短く、内容もあまりよくありませんが、ペレルマンさんの評伝、特に崩壊前のソビエト連邦の数学教育の記述はとても興味深かったです。私は理論物理学の研究をしているので、友人や共同研究者の中に同じような境遇だった人もいて、当時の様子についてはいろいろお聞きしています。ペレルマンさん自身には会えなかったものの、様々な関係者のインタビューが盛り込まれて厚みのある内容になっています。
ところで、先日のIPMU新研究棟完成記念式典における、東京大学の濱田純一総長のスピーチがIPMUのウェブサイトに掲載されています。IPMUの恒久化については、
「東京大学では学内に常設的な組織として複数の「高等研究所」を設立する構想をもち、決定に向けて議論を進めていることを申し上げたいと思います。この構想が実現した場合、私は、既に高く評価される実績を上げている数物連携宇宙研究機構を、「高等研究所」の一つとして学内組織に組み込み、WPI プログラムによる支援の終了後も東京大学において存続させること、また、この際に、数物連携宇宙研究機構の一部の教員ポストを、学内の定年年齢まで特任として契約を継続することにより、実質的にテニュア化する決意であることを表明いたします。このようにして数物連携宇宙研究機構の直面する2 つの問題の解決を図るとともに、東京大学は今後とも数物連携宇宙研究機構を全学的に支援して参ります。」
と書かれています。これが実現すればすばらしいと思います。スピーチの全文はこちらにあります。
by planckscale
| 2010-03-01 13:44









