2010年 06月 05日
筑波の道 |
ベルリンでは、4月の終わりに暖かい日がありましたが、5月は冷たい雨の降る日が続きました。今週になってようやく初夏のような気候になり、太陽のありがたさを実感します。北ヨーロッパなので、夜の10時過ぎまで暗くなりません。明日からは週末なので、今日の午後には研究所のカフェテリアに移動式のバーが登場し、おきまりのソーセージの屋台も現れて、即席のビアガーデンが開かれていました。
さて今週は、私たちが発表していた仕事と関連する論文がいくつか電子プレプリントのアーカイブに掲載されていました。
この4月には、K3の楕円指標とマシュー群の関係について、江口徹さんと立川裕二さんと論文を発表していましたが、この論文の予想についての興味深い論文が2本出ていました。私たちの論文では、楕円指標の展開係数がマシュー群M24の表現の次元になっていることを指摘し、K3の楕円コホモロジーにM24の対称性があることを予想していました。
ハーバード大学のミランダ・チェンさんが今週発表した論文では、アショク・センさんたちが計算していた「ひねった」楕円指標を使うと、その展開係数から期待通りに群の指標が現れることが示されました。これは、予想についての重要な証拠です。また、そのすぐ翌日には、スイス連邦工業大学のマティアス・ガバディエルさんらのグループが、楕円指標の係数をM24の指標に置き換えたものがよいモジュラー性を持つことを示した論文を発表しました。私たちの予想がこうして検証されるのはうれしいです。
また、チェンさんの論文が出た同じ日には、5月にピオトロ・スルコフスキーさんと山崎雅人さんとかいた論文と重複する部分のある論文が出ていました。
2007年には、大河内豊さんとチャンスン・パークさんと、N=2の超対称性ゲージ理論に摂動を加えると、クーロン・モジュライ空間の任意の点に準安定な真空を作ることができることを示しましたが、今日は、エルサレムのヘブライ大学のエリエザー・ラビノビッチさんらが、このような摂動の調整の仕方について詳しく調べた論文を発表していました。
1990年代になって電子プレプリントのアーカイブが出来てから、理論物理学の研究のスタイルがかなり変わりましたが、変化の1つとして、発表された論文を受けて次の論文が現れる間での時間が短縮されたように思います。
by planckscale
| 2010-06-05 05:00









