2010年 08月 21日
フィールズ賞 |

今回の受賞者のひとりはスタニスラフ・スミルノフさんで、ある種の2次元の統計模型がスケール極限で共形対称性を持つことを示し、物理学者のジョン・カーディさんの予想していた公式に数学的証明を与えました。場の量子論に数学的基礎を与えることは数理物理学の長年の課題ですが、2次元の共形場の理論では確実な進歩が起きています。前回の2006年のICMでフィールズ賞を受賞されたウェンデリン・ウェルナーさんの業績も2次元の共形場の理論に関係するものでした。
スミルノフさんはCaltechの大学院の卒業生なので、今回の受賞はCaltechにとってもうれしいニュースでした。
もうひとりの受賞者のセドリック・ビラニさんへの授賞対象は気体分子の運動論で、非平衡の状態からどのように平衡状態への移行が起きるのかの理解を進められたのだそうです。
物理学の提起する問題は、依然として数学の新しい発展を触発し続けているようです。


by planckscale
| 2010-08-21 12:45