2011年 10月 19日
ソルベー会議: 0日目 |
ソルベー会議の科学プログラムの前日の今日は、「知的好奇心にかられた科学?―役に立たない研究の有用性」と題したシンポジウムが開かれました。ソルベー会議の100年間を振り返り、科学者のほかに産業界や政界、教育界の人々も参加して、基礎科学の果たす役割についての議論がされました。
ロバート・ダイグラーフさんによる「基礎科学の意外な有効性」と題した基調講演から始まり、基礎科学の重要性を社会にどのように訴えるべきか、科学研究の高い水準を保つためにはどうすべきか、また政府のほかに篤志家の役割について、様々な意見が出されました。
日本からは、トヨタ自動車株式会社の名誉会長の豊田章一郎さんが講演されました。日本人なら誰でも知っている豊田佐吉の自動織機の発明の話から始まり、豊田理化学研究所やコンポン研究所の最近の活動についてもお話になりました。
基礎研究者が好奇心から研究したことは、50年や100年たって社会に役に立つことがあるので、市場経済だけではこのような研究は成り立たない。社会資本として、政府が支援するべきものであるという意見が多数でした。
その一方で、細胞の構造と機能に関する発見でノーベル生理学・医学賞を受賞され、今年で95歳になられるクリスチャン・ド・デューブさんが、社会に50年後に役に立つかもしれないから基礎研究をしているのではない。おもしろいからしているのだと強調されていたことにも強い印象を受けました。
数理科学の研究を私財で支援されているジェームス・サイモンズさんは、ご自分が数学者だったころの経験を振り返って、研究には好奇心のほかに、意義のある方向を見定める審美眼も重要であると強調されていました。シンポジウムの後の夕食会では、テーブルごとにマックス・プランクやヘンドリック・ローレンスなどソルベー会議にちなんだ名前が付けられており、私はソルベー会議の創始者のエルネスト・ソルベーのテーブルでした。
by planckscale
| 2011-10-19 06:59









