2011年 10月 23日
ソルベー会議: 4日目 |

100年前の第1回ソルベー会議の集合写真(左)では、前列でウィルヘルム・ウィーン、マリー・キュリーとアンリ・ポアンカレが机の上のノートか何かを見ながら議論しているところが写っているので、フランク・ウィルチェックさんが「僕たちもキュリー夫人の真似をしてみようか」と冗談を言っていました。今日の午前のセッションは「量子重力と弦理論」と題して、量子重力の基礎とその理論物理学の諸問題(たとえば物性物理の強相関問題)への応用、またインフレーション宇宙論や宇宙初期の特異点の議論になりました。
前半の基調講演はフアン・マルダセナさん、後半の基調講演はアラン・グースさんでした。私はグースさんの講演ははじめて聞いたのですが、とても明快で、インフレーション宇宙論の勘所がよくわかりました。
量子重力理論では、量子力学の基本原理と、場の理論の局所性の性質の間に緊張関係が生じて、たとえばホーキングの指摘したブラックホールの情報問題も、この2つの間の矛盾によるものだと考えることもできます。超弦理論のホログラフィー原理によると、局所性の概念は変更を受けるものの、量子力学の原理はそのまま保たれることになります。
ホログラフィー原理は、量子重力では空間はより基礎的な自由度から生まれる(創発される)近似的な概念と考えることができますが、時間が創発される例はまだ見つかっていません。空間と時間が非対称に扱われるのは不思議にも思いますが、時間が創発される場合には、量子力学自身が変更を受けなければいけなくなると思われます。
午前のセッションが終わって、ホテルのロビーに行くと人だかりがしています。ベルギーの漫画家エルジェの描いた『タンタン』が映画化されて、今日が初日なのだそうです。私たちが宿泊して、会議も開かれているメトロポール・ホテルもしばしば漫画の舞台になったので、すぐ外の広場がお祭りのようにになっていました。午後のセッションは、これまでの6つのセッションの総括。
物性理論は1メートルから10のマイナス10乗メートル、素粒子論は10のマイナス14メートル以下の世界をもっぱら対象にします。今回の会議では、この2つの分野の研究者集まって「量子世界の理論」というテーマで1週間議論をしました。異なる研究対象を持つ2つの分野ですが、お互いに興味を共有し、方法論を比べあうことで、物理学というのが1つの学問分野であることを強く感じた1週間でした。
by planckscale
| 2011-10-23 04:13









