2012年 04月 18日
『数学セミナー』50周年 |
『数学セミナー』は、数学に関係したエッセイや入門記事から、最新の研究の話題までカバーする雑誌で、私も定期購読して毎月楽しみにしています。このような雑誌が一般の書店で手に入り広く読まれているのは世界でも希なことで、日本の数学の層の厚さを感じます。
1962年4月の創刊で、今年は50周年になりました。5月号はその記念のために「未来への宿題」と題した特集が組まれ、私も寄稿しました。
編集部からのご依頼のメールには、
「これから50年先(中長期的なスパン)を見据えた数学に対する宿題・課題を若い読者に向けて,誌面にて語っていただければと考えております」
とありました。
「50年先への宿題」とは大層なお題ですし(私自身の宿題もできていないのに)、また執筆者のリストを拝見すると錚々たる先生方ばかりなので躊躇しましたが、多様な分野の話題があったほうがよいかと思い、締め切り直前になってお受けしました。編集部で担当の方にはぎりぎりまでご心配をおかけして申し訳ありませんでした。
特集の記事は:
藤田宏:これからの数理科学のロマンと使命
森田茂之:低次元トポロジーにおけるいくつかの宿題
甘利俊一:数学,数理科学,数理工学の展望
小野孝:フィボナッチ数列覚え書
竹内郁雄:コンピュータは数学の応援を求む
黒川信重:素数の問題----一歩先へ
砂田利一:数学の「罪」
高橋陽一郎:生物を記述する数学は可能か
大栗博司:場の量子論
具体的な「宿題」を提出する記事から、数理科学政策についての記事まで、いろいろなスタイルの文章があります。後者としては、たとえば藤田宏さんと甘利俊一さんが京都大学の数理解析研究所設立の経緯についても書かれており、私も研究者として重要な時期にお世話になった研究所なので、興味深く読みました。
私の記事は「場の量子論の数学的基礎付け」に関するものです。これについては、以前に数学書房から出版された『この定理が美しい』にも書きましたが(⇒そのときのブログ記事)、今回の記事では場の量子論の数学的問題点について、さらに掘り下げて書きました。
場の量子論の典型例だとされる量子電磁気学の摂動展開がなぜ収束しないのか、なぜ連続極限が存在しないと考えられているのか。また、「存在しないはずの理論」を使ってなぜ計算ができて実験結果とうまく合うのかなどを、できるだけわかりやすく説明するように努力しました。
ところで、私事ですが ― と言っても、ブログなので私事ばかりなのですが ー 私は先月50歳になりました。『数学セミナー』とは1ヶ月違いの同い年です。お互いに、次の50年もがんばりましょう。
by planckscale
| 2012-04-18 13:20









