2012年 09月 21日
カンニングと超弦理論の数理 |
夏の講演旅行シーズンが終わって、先週の初めにパサデナに戻ってきました。2ヶ月以上留守にしていたので、書かなければいけない手紙や報告書がたまっていて、ブログの更新が滞っていました。Caltechの授業は再来週から始まりますが、教官の間の話題の一つはハーバード大学で発覚した大規模カンニング事件。ニューヨーク・タイムズ紙でも大きく取り上げられて、その後も続報が続き、いくつかの論評も書かれています。
⇒ ニューヨークタイムズ紙の最初の記事
250人を対象にした政治学のクラスで、半数近くの生徒にカンニングの疑いがかかっているのだそうです。実際にやったとなると1年間大学に出られなくなるそうなので、バスケットボール部のスター選手が自主休学するなど騒ぎになっています。
CaltechにはHonor Code (名誉の誓い) というものがあって、人が見ていないときでも責任のある行動を取ることになっていますが、ハーバード大学にはそれに対応するものがないからだとか、いや、Caltechでも現状を調査すべきであるとか議論になっています。
話は変わりますが、サイエンス社の雑誌『数理科学』の10月号は「超弦理論の数理」という特集号です。
半年ぐらい前に編集を依頼されました。超弦理論の研究では、最先端の数学が用いられています。また、超弦理論や素粒子論の研究は数学の新しい発展を触発しています。そこで、この特集では超弦理論に登場する最先端の数学を取り上げました。
最新の研究成果を紹介するために、全部で8本の解説記事のうち5本は、30代の気鋭の研究者に執筆を依頼しました。残りの3本は、私と同年代の研究者と先輩にお願いしました。超弦理論の数理的手法の開発における先駆的研究者として過去30年以上にわたってこの分野を指導してこられた江口徹さんは、この分野の将来を展望するコラム記事を書いてくださいました。
皆さんすばらしい記事で、読み応えがあります。
特集部分の目次はこうなっています:
☆ 「巻頭言」 大栗博司
☆ 「場の理論の分解学」 山崎雅人
☆ 「4次元ゲージ理論と2次元共形場理論」 中島啓
☆ 「混成弦・II型弦双対性の一側面」 立川裕二
☆ 「M-理論とメンブレーンの力学」 細道和夫
☆ 「超弦理論が教える繰り込み群とタイムマシンの関係」 中山優
☆ 「F-理論の数理」 渡利泰山
☆ 「量子ダイログ関数と団代数」 中西知樹
☆ 「カタラン数から弦理論のミラー対称に迫る」 村瀬元彦
☆ コラム記事「超弦理論のさし示す新しい幾何学」 江口 徹
☆ インタビュー「弦理論と数学の関係」 大栗博司
よろしければご覧ください。
by planckscale
| 2012-09-21 13:30









