2012年 12月 28日
自発的な回転 |
日本数学会の会員誌『数学通信』を読んでいたら、昨年まで京都大学基礎物理学研究所の所長をなさり、今年から立教大学に移籍された江口徹さんが、私のサイモンズ賞受賞について寄稿されていました。江口さんには、私が京都大学大学院の修士課程で勉強していたときからお世話になり、その後東京大学に助手として呼んでいただいて、共同研究を通じて勉強をさせていただきました。
このような記事を書いてくださり光栄です。「今後もペースを落とさず、優れた研究を引き続き生み出していってもらいたいと思う」とのことで、頑張ります。
⇒ 江口徹さんの記事
年末には、拙著『重力とは何か』の新しい書評をいくつか拝見しました。
12月7日付けの朝日新聞の別刷り「be Extra WINTER」の特集「今年売れた本、注目の本」では、瀧井朝世さんが「文系も楽しめる理系本」と紹介してくださいました。「複雑な数式を使わずに相対性理論などを解説してみせ、その表現の豊かさと巧みさに驚かされる」とのありがたい評でした。
朝日新聞社の書評サイト「ブック・アサヒ・コム」では、12月18日付けで社会学者の大澤真幸さんの書評が掲載されていました。「優れた科学啓蒙書を読むことは実に愉しい。読書の喜びというものはこういうところにある、と実感させてくれる」と始まり、内容に深く分け入った文章でした。電子媒体には字数制限がなく、じっくり紹介していただけたこともうれしいです。
⇒ 大澤真幸さんの書評
この書評サイトでは、2012年1~11月にここを経由してアマゾン・ジャパンで売れた本のランキングも発表されており、拙著は第3位になっていました。「素人の目で読みやすくという書評で、多く読まれました」とのことでしたが、この7月1日付の書評を書いてくださったのも瀧井朝世さんでした。
⇒ 瀧井朝世さんの書評
⇒ アサヒ・ドット・コムのランキング
多くの方々が基礎科学に興味を持ってくださっているということで、うれしいです。
さて、Caltechの大学院生のボグダン・ストイカさん、MITの准教授のホン・リューさん、昨年までMITのアインシュタイン・フェローで今年からモンタナ州立大学の助教授になったニコラス・ユネスさんと、昨年の秋から続けていた研究がやっとまとまったので、論文にして発表しました。
超伝導のBCS理論では、2つの電子がクーパー対を作り、これが対称性の自発的破れを引き起こします。このとき、2つの電子のスピンは逆向きになるので、クーパー対はスピンを持ちません。
同じような現象はヘリウム3にも起こり、これがヘリウム3の超流動現象の原因になります。しかし、この場合にはスピンの向きがそろうので、クーパー対がスピンを持つようになります。このような超流動体に磁場を駆けると、全体のスピンがそろって、流体全体が回転の勢い(角運度量)を持つようになります。
ヘリウム3の超流動現象の理論はとても深いもので、アンソニー・レゲットさんの2003年のノーベル物理学賞の対象にもなっています。
今回の私たちの論文では、このように角運動が自発的に起きるような現象を、ホログラフィー対応をつかって重力理論で理解することを試みました。
研究を始めた頃は、どのような模型を使えば理解できるかがわからず、アインシュタイン方程式をやみくもに解いていたのですが、さんざん寄り道をしたあげく、最後にはトポロジーの方法ですっきり理解することができました。
よろしければご覧ください。⇒ ホログラフィー理論における角運動量の自発的生成
このような記事を書いてくださり光栄です。「今後もペースを落とさず、優れた研究を引き続き生み出していってもらいたいと思う」とのことで、頑張ります。
⇒ 江口徹さんの記事
年末には、拙著『重力とは何か』の新しい書評をいくつか拝見しました。
12月7日付けの朝日新聞の別刷り「be Extra WINTER」の特集「今年売れた本、注目の本」では、瀧井朝世さんが「文系も楽しめる理系本」と紹介してくださいました。「複雑な数式を使わずに相対性理論などを解説してみせ、その表現の豊かさと巧みさに驚かされる」とのありがたい評でした。
朝日新聞社の書評サイト「ブック・アサヒ・コム」では、12月18日付けで社会学者の大澤真幸さんの書評が掲載されていました。「優れた科学啓蒙書を読むことは実に愉しい。読書の喜びというものはこういうところにある、と実感させてくれる」と始まり、内容に深く分け入った文章でした。電子媒体には字数制限がなく、じっくり紹介していただけたこともうれしいです。
⇒ 大澤真幸さんの書評
この書評サイトでは、2012年1~11月にここを経由してアマゾン・ジャパンで売れた本のランキングも発表されており、拙著は第3位になっていました。「素人の目で読みやすくという書評で、多く読まれました」とのことでしたが、この7月1日付の書評を書いてくださったのも瀧井朝世さんでした。
⇒ 瀧井朝世さんの書評
⇒ アサヒ・ドット・コムのランキング
多くの方々が基礎科学に興味を持ってくださっているということで、うれしいです。
さて、Caltechの大学院生のボグダン・ストイカさん、MITの准教授のホン・リューさん、昨年までMITのアインシュタイン・フェローで今年からモンタナ州立大学の助教授になったニコラス・ユネスさんと、昨年の秋から続けていた研究がやっとまとまったので、論文にして発表しました。超伝導のBCS理論では、2つの電子がクーパー対を作り、これが対称性の自発的破れを引き起こします。このとき、2つの電子のスピンは逆向きになるので、クーパー対はスピンを持ちません。
同じような現象はヘリウム3にも起こり、これがヘリウム3の超流動現象の原因になります。しかし、この場合にはスピンの向きがそろうので、クーパー対がスピンを持つようになります。このような超流動体に磁場を駆けると、全体のスピンがそろって、流体全体が回転の勢い(角運度量)を持つようになります。
ヘリウム3の超流動現象の理論はとても深いもので、アンソニー・レゲットさんの2003年のノーベル物理学賞の対象にもなっています。
今回の私たちの論文では、このように角運動が自発的に起きるような現象を、ホログラフィー対応をつかって重力理論で理解することを試みました。
研究を始めた頃は、どのような模型を使えば理解できるかがわからず、アインシュタイン方程式をやみくもに解いていたのですが、さんざん寄り道をしたあげく、最後にはトポロジーの方法ですっきり理解することができました。
よろしければご覧ください。⇒ ホログラフィー理論における角運動量の自発的生成
by planckscale
| 2012-12-28 08:55









