2013年 01月 05日
サンタ・クルーズ |

左の写真は今朝ホテルの窓から撮ったもの。西海岸なのに海から朝日が昇ります。
今回の会議は、サンタ・クルーズ校のマイケル・ダインさんとハワード・へーバーさんの還暦のお祝いです。西洋には還暦という習慣はないはずなのですが、なぜか記念の会議がよく行われます。
ダインさんは超弦理論や超対称性を持つ場の量子論の研究と、その素粒子現象論への応用で有名で、超弦理論の会議でもよくお会いします。
へーバーさんと私は、アスペン物理学センターの理事なので、毎年アスペンでお会いしています。ヒッグス粒子の現象論のエキスパートで、この分野の有名な本も出版されています。

ダインさんやへーバーさんの研究分野からして、昨年の7月4日にCERNで発見が発表されたヒッグス粒子に関する講演が中心ですが、それ以外にも興味深い話がいくつかありました。
朝一番のザイバーグさんの講演は、4次元の場の量子論の双対性から、3次元の双対性を導くという話でした。
ザイバーグさんは15年ほどまえに、ウィッテンさんとともに、4次元でN=2の超対称性を持つ場の理論を3次元にコンパクト化した理論の性質についての論文を書かれています。しかし、この場合には、コンパクト化したときに現れるインスタントン効果のたしあげができず、厳密な結果ではありませんでした。
今回の話では、4次元でN=1の超対称性を持つ理論から出発します。この場合には、ザイバーグさん自身が90年代の半ばに、一見異なる2つの場の量理論が低エネルギーでは同等になる例(双対性)を指摘されています。そこで、こうした場の量子論を3次元にコンパクト化したらどうなるかを考えると、この場合にはインスタントン効果が1次の項で止まってしまい、4次元の双対性から3次元の双対性が厳密に導かれました。
一般に、対称性は大きいほうが計算の助けになるのですが、今回の話では超対称性が小さい場合に厳密な結果が得られるというところが面白かったです。


by planckscale
| 2013-01-05 12:14