2013年 04月 21日
東京大学大学院入学式 |

春になって、ファーマーズ・マーケットにもさまざまな野菜が並ぶようになりました。上の写真の左はアーティチョーク、右はカブ各種です。
さて、4月12日に行われた東京大学大学院の入学式の式辞で、濱田純一総長は、村山斉さんの『宇宙は何で出来ているのか』と、私の『強い力と弱い力』から、引用をしてくださいました。
⇒ 平成25年度東京大学大学院入学式 総長式辞
拙著の引用は、最後の章の以下の部分でした:
「まだ何の役に立つのかわからないヒッグス粒子の発見は、私たちの知的好奇心を満たし、科学のすばらしさを教えてくれました。」
「こうした科学の成果が与えてくれる喜びは、文学、音楽、美術などがもたらすものと変わるところがありません。自然界の奥底に潜む真実を解き明かす科学は、この宇宙における私たち人間の存在について、深く考えるきっかけを与えてくれる。それこそが科学の喜びであり、私たちが大切にすべき価値だと思います。」
これは、「大学が 、時代の期待に応え、社会に役立っていくとはどういうことか」、というお話の中での引用でした。
濱田総長の式辞には共感する部分が多いので、いくつか引用します:
「学問研究には、必ずしもそのような直接的な形ではない成果があります。(中略) それは、学問研究に必然的に伴われるはずの、自由な精神、批判的な精神、そして、真理を求める好奇心と喜びということです。(中略) そうした精神に対する敬意を持ち、さらにはそうした精神が普遍化する社会こそ、さまざまな困難な課題を乗り越えて新しい時代を創造していくことのできる社会であると思います。」
「日々の仕事や生活においても、真実や真理といった究極的なものに対する憧憬は、何であれ、より良いものを目指して新しい課題に挑戦していこうとする行動の根底に存在しているように思います。」
「そうした意味では、「真実を解き明かす」、あるいは「真理を探究する」という観念に対して信頼や評価が与えられない社会は、明日の時代を築いていく活力を失っていくでしょう。」
昨年の夏、日本数学会の会員誌『数学通信』に、「役に立たない研究の効能」と題した巻頭言を書いたときには、Caltechのジャン=ルー・シャモー学長のスピーチを引用しました:
「科学の研究が何をもたらすかを予め予測することはできないが、真のイノベーションは人々が自由な心と集中力を持って夢を見ることのできる環境から生まれることは確かである」
「一見役に立たないような知識の追求や好奇心を応援することは、わが国の利益になることであり、守り育てていかなければいけない」
⇒ 数学通信巻頭言 「役に立たない研究の効能」
濱田総長の式辞も、シャモー学長のスピーチも、大学がどのような形で社会に貢献できるのかを真摯に考えられたものだと思います。
大学や大学院に入学された皆さん、おめでとうございます。
拙著『強い力と弱い力』と言えば、3月31日付の日本共産党の『しんぶん赤旗』に、書評が掲載されていたそうです。
“知の探求の「革命」真っただ中のルポルタージュです” (括弧は原文のママ)
という最後の文に、共産党の機関紙らしさが表れていると思いました。
by planckscale
| 2013-04-21 11:09









