2013年 06月 19日
ケン・ウィルソンさん |

月曜日にパサデナを出て、1泊2日でコロラド州の自動車旅行で、コロラド州のアスペンに着きました。来月にはアスペンの物理学センターで4週間のワークショップを予定しているので、その準備もあります。
アスペンには、昨年も一昨年も自動車で移動しました。上の写真は、左から、ネバダ州のラスベガス、アリゾナ州・ユタ州・コロラド州の入り口の標識です。
途中では美しい景色を見ることもできますが、それについては、2011年のブログ記事を引用します。
2011年の自動車旅行の様子はこちら。
2012年の自動車旅行の様子はこちら。
日曜日には、理論物理学者のケン・ウィルソンさんがお亡くなりになったことを聞きました。
ウィルソンさんは、Caltechでマレー・ゲルマンさんの指導で博士号を取得し、1982年にノーベル物理学賞を受賞されています。
場の量子論は素粒子論の基本言語ですが、その計算には無限大の問題があります。この無限大を処理するのがくりこみの方法です。
くりこみの方法が開発されたときには、「絨毯の下にゴミを隠す(sweep under the rug)」という慣用句のように、無限大の問題を絨毯の下に隠して、とりあえず見えないようにするだけのものであるといわれました。ところが、この方法は、当初の予想をはるかに超えて精密に機能しました。たとえば、コーネル大学の木下東一郎さんらは、電子の磁気能率をくりこみを使って計算し、実験結果と一兆分の一以下の精度での一致を見ています。これは、理論計算と実験結果の一致としては、物理学の歴史の中で最高の記録ではないかと思います。
ウィルソンさんの研究により、くりこみの方法がうまく行く理由は、「自然界の階層構造」にあることが明らかになりました。「絨毯の下にゴミを隠す」のではなく、自然の姿を正しく反映した計算方法だったのです。
ウィルソンさんの発見以前には、くりこみの方法で無限大がすべて処理できることを示すためには、ファインマン図の間の「組み合わせ論的関係」を使った複雑な証明が必要でした。
ウィルソンさんは、この証明を一行で済ませることができるようにしただけでなく、なぜそれがうまくいくのかについての物理的な洞察を与えました。
また、ウィルソンさんは場の量子論の定義について深く考察し、彼が考案した「格子ゲージ理論」は、強い力の計算に大いに活躍しています。
今日、場の量子論について語る際には、ウィルソンさんの影響を免れることはできません。
ご冥福をお祈りいたします。
by planckscale
| 2013-06-19 13:05









