2013年 09月 23日
美術館での講演 |
土曜日には大阪の朝日カルチャーセンター中之島教室で講座「超弦理論の最前線」を開講しました。中之島教室では自然科学系の講座はあまり開かれていないそうですが、100名以上の方が参加されました。
4時間という長丁場の講義だったので、途中でおやつとして、私が描いたニュートンやアインシュタイの絵のついた M&M's チョコレートを配りました(左の写真)。
また、日曜日には、愛知県の豊田市美術館で開催されている企画展「反重力」で、「重力とは何か」という講演をしました。この企画展を担当された学芸員の能勢陽子さんが、拙著『重力とは何か』をお読みいただいたそうで、
「物理に疎い私でもとても惹きつけられました。ご講演をお引き受けいただければ、実際の宇宙物理学とアートをつなぐことができるのではないかと考えております」
とご連絡をくださり、実現しました。
美術館での講演で、どのような方に来ていただけるものなのか見当がつきませんでしたが、ふたを開けてみると、定員170名の講堂(右の写真)に160名の方々がいらっしゃり、ほぼ満員になりました。参加者は中学生から、大学生や主婦、トヨタ自動車の技術者まで幅広く、講演終了後も活発に質問をしてくださいました。
講演の前には、学芸員の能勢さん自ら「反重力」展をご案内くださいました。おかげで、JAXAと協力して自由落下している飛行機の中での無重力状態を体験された芸術家のビデオや、アインシュタイン方程式の宇宙項にヒントを得た《ラムダ・ガール》、3次元の物体を2次元の壁に射影する展示、2階吹き抜けの大きな部屋の中で空間の質を感じさせようという展示などを、私の講演で引用することができました。
左の写真は展示された作品のいくつかです。右上から時計回りに:
【右上】 赤瀬川源平さんの《宇宙の缶詰》の再現。缶詰の中身を食べて、レーベルを内側に貼り、蓋を閉じると、宇宙が閉じ込められる。もっといろいろな形の缶詰をつかえば、ヘゴール分解によって、どんな3次元トポロジーもできますね。
【右下】 雪の結晶を研究し人工雪の制作に世界で初めて成功した中谷宇吉郎さんのお嬢さんの中谷芙二子さんの霧の彫刻《風の記憶》。
【左下】 アルゼンチンのレアンドロ・エーリッヒさんの作品《豊田の家》。「伝統建築物の前で人が浮かんでいるように見える」という趣向。私も試して見ました。
【左上】 ブラジルのエルンスト・ネトさんの《わたしたちのいる神殿のはじめの場所、小さな女神から、世界そして生命が芽吹く》。くつろげる空間です。
科学者は重力を数学の言葉で表現し理解しようとしますが、芸術家がこれをどのようにして表現しようとするのかを見るのは興味深いものでした。
ちょうど、土曜日と日曜日には、2夜連続でNHKスペシャル「神の数式」が放送されました。
私は第2夜「宇宙はどこから来たのか」に取材協力させていただきました。
担当のディレクターにお聞きした話では、1時間番組で盛り込める内容は新書10ページ強しかないと行くことで、その枠内で一般相対論と量子力学の融合の困難から、弦理論の生い立ち、第1次超弦理論革命から、Dブレーンによるホーキングのパラドックスの解明までカバーしたのは、素晴らしい力量だと思いました。
個人的には、Caltechの私の研究室や講堂が出てきたり、私が理事をしているアスペン物理学センターが何度も登場したり、何よりも、私のCaltechの同僚のジョン・シュワルツさんの功績がしっかり語られているのが嬉しかったです。
拙著を宣伝します:第1夜をご覧になって、さらに詳しく知りたい方は『強い力と弱い力』(幻冬舎新書)を、第2夜については『重力とは何か』(幻冬舎新書)と『超弦理論入門』(ブルーバックス)をご参考になさってください。
4時間という長丁場の講義だったので、途中でおやつとして、私が描いたニュートンやアインシュタイの絵のついた M&M's チョコレートを配りました(左の写真)。
また、日曜日には、愛知県の豊田市美術館で開催されている企画展「反重力」で、「重力とは何か」という講演をしました。この企画展を担当された学芸員の能勢陽子さんが、拙著『重力とは何か』をお読みいただいたそうで、
「物理に疎い私でもとても惹きつけられました。ご講演をお引き受けいただければ、実際の宇宙物理学とアートをつなぐことができるのではないかと考えております」
とご連絡をくださり、実現しました。
美術館での講演で、どのような方に来ていただけるものなのか見当がつきませんでしたが、ふたを開けてみると、定員170名の講堂(右の写真)に160名の方々がいらっしゃり、ほぼ満員になりました。参加者は中学生から、大学生や主婦、トヨタ自動車の技術者まで幅広く、講演終了後も活発に質問をしてくださいました。
講演の前には、学芸員の能勢さん自ら「反重力」展をご案内くださいました。おかげで、JAXAと協力して自由落下している飛行機の中での無重力状態を体験された芸術家のビデオや、アインシュタイン方程式の宇宙項にヒントを得た《ラムダ・ガール》、3次元の物体を2次元の壁に射影する展示、2階吹き抜けの大きな部屋の中で空間の質を感じさせようという展示などを、私の講演で引用することができました。
左の写真は展示された作品のいくつかです。右上から時計回りに:
【右上】 赤瀬川源平さんの《宇宙の缶詰》の再現。缶詰の中身を食べて、レーベルを内側に貼り、蓋を閉じると、宇宙が閉じ込められる。もっといろいろな形の缶詰をつかえば、ヘゴール分解によって、どんな3次元トポロジーもできますね。
【右下】 雪の結晶を研究し人工雪の制作に世界で初めて成功した中谷宇吉郎さんのお嬢さんの中谷芙二子さんの霧の彫刻《風の記憶》。
【左下】 アルゼンチンのレアンドロ・エーリッヒさんの作品《豊田の家》。「伝統建築物の前で人が浮かんでいるように見える」という趣向。私も試して見ました。
【左上】 ブラジルのエルンスト・ネトさんの《わたしたちのいる神殿のはじめの場所、小さな女神から、世界そして生命が芽吹く》。くつろげる空間です。
科学者は重力を数学の言葉で表現し理解しようとしますが、芸術家がこれをどのようにして表現しようとするのかを見るのは興味深いものでした。
ちょうど、土曜日と日曜日には、2夜連続でNHKスペシャル「神の数式」が放送されました。
私は第2夜「宇宙はどこから来たのか」に取材協力させていただきました。
担当のディレクターにお聞きした話では、1時間番組で盛り込める内容は新書10ページ強しかないと行くことで、その枠内で一般相対論と量子力学の融合の困難から、弦理論の生い立ち、第1次超弦理論革命から、Dブレーンによるホーキングのパラドックスの解明までカバーしたのは、素晴らしい力量だと思いました。
個人的には、Caltechの私の研究室や講堂が出てきたり、私が理事をしているアスペン物理学センターが何度も登場したり、何よりも、私のCaltechの同僚のジョン・シュワルツさんの功績がしっかり語られているのが嬉しかったです。
拙著を宣伝します:第1夜をご覧になって、さらに詳しく知りたい方は『強い力と弱い力』(幻冬舎新書)を、第2夜については『重力とは何か』(幻冬舎新書)と『超弦理論入門』(ブルーバックス)をご参考になさってください。
by planckscale
| 2013-09-23 20:42