2013年 12月 04日
理論物理の風通しをよくする |
12月18日(水)の午後5時30分から、茨城県つくば市のKEK(高エネルギー加速器研究機構)の小林ホールで、
「重力とは何か、時空とは何か」
と題した一般講演を行います。
国際線形加速器(ILC)の研究会の一環として行われるものですが、KEK外部の方も歓迎だそうです。参加は無料で、事前登録はいりません。
詳しくはこちらから。⇒ KEK一般講演会
さて、クリスマスの時期になると、Caltechの職員会館(アセネアム)が変身します。11月の4週目の感謝祭の休日の間に、ロサンゼルスでも指折りの花屋が飾り付けをして、週明けに行くと、上の写真のようになっています。
左が玄関のホールのクリスマス・ツリー、中央がラウンジ(12月の間は食堂の一部として使われます)、右が図書室です。
今日は、この職員会館で「理論物理学昼食会」を開きました。私は以前から、理論物理学者の交流を深める機会を作ろうと言っていたのですが、これに資金を出してくださる方がいらしたので、実行に移すことにしました。
最初の試みとして、職員会館の図書室で昼食会を開きました。27名の理論物理学教授と冠フェロー(寄付基金の付いた特別なポストドクトラル・フェロー)が参加し、盛況でした。
私が会の趣旨を説明した後、参加者の自己紹介。その後で、今年大学院卒業してCaltechのポストドクトラル・フェローになったばかりの2人に、自分の研究の話をしてもらいました。
デュブリッジ冠フェローのジム・フラーさんは、天体理論が専門で、コーネル大学の卒業。指導教官のドン・ライさんも、10年ほど前にCaltechのポストドクトラル・フェローでした。
フラーさんは、恒星や惑星の形成や進化に重要な役割をする「潮汐力」の話をしてくれました。ケプラー衛星による地球外惑星の公転運動のデータに、共鳴現象があることを指摘し、それが潮汐力から説明できることを示しました。
リー冠フェローのヤロスロフ・トルンカさんは、素粒子論が専門で、プリンストンの高等研究所の卒業。指導教官のニーマ・アルカニハメッドさんとの最新の研究成果について話してくれました。
素粒子の散乱振幅を計算する基本的な道具としてファインマン図がありますが、トルンカさんはそれに変わる新しい方法を開発しています。4次元時空でN=4の超対称性を持つヤン-ミルズ理論では、散乱振幅が「アンプリチュへドロン」と呼ばれる新しい幾何学的対象の体積になっていることを示しました。
今回の講演は2つともとてもよく準備されていて、議論も盛り上がったので、次回からもよいプログラムを組んでいこうと思っています。
by planckscale
| 2013-12-04 15:23