2014年 04月 04日
ピーター・ゴダードさん |
左の写真は、火曜日の夕方に上野公園の清水観音堂で撮ったものです。
プリンストン高等研究所の前所長だったピーター・ゴダードさんがカブリIPMUにいらしているので、月曜日には、彼を囲んだシンポジウムを行いました。
ゴダードさんは、共形場の理論やゲージ理論、弦理論という数理物理学の広い分野で大きな業績をあげられ、時に、弦理論のノー・ゴースト定理、ゲージ理論の電磁双対性、共形場理論の構成などで知られています。また、ケンブリッジ大学の教授をなさっていたときには、アイザック・ニュートン数理科学研究所の初代副所長として研究所の立ち上げに尽力なさり、セント・ジョーンズ・カレッジの学長もなさいました。また、2004年から2012年までは、高等研究所の所長として活躍されました。
今回のシンポジウムでは、ゴダードさんが高等研究所の所長をなさっていたときに所員であった江口徹さん、堀健太郎さん(正確には、ゴダードさんがいらっしゃる少し前に所員だった)、立川裕二さん、シメオン・へラーマンさんにお話をお願いしました。
また、火曜日には、ゴダードさんと、村山斉機構長と私の三人で鼎談を行い、これについては、カブリIPMUニュースの次号に掲載される予定です。
ところで、先週、幻冬舎のウェブ・マガジンで配信した数学エッセイの第10回「無限世界と不完全性定理 後編」について、ご専門の方々からツィッターでコメントをいただきありがとうございました。ご意見を参考に、修正をして、再配信しました。以下に、修正点をまとめておきます。
(1)以前の原稿では、ゲーデルの不完全性定理を引用するときに、「矛盾のない有限な数の公理で」と始めていました。帰納的・再帰的なものも含めて有限な文字数で表すことができるという意味で「有限な」と書いたつもりでしたが、この点について明確にしていた方がよいと思い、修正しました。
(2)また、第1不完全性定理の主張の中で、「自然数についての真なる主張で」と書きましたが、もともとの不完全性定理は、絶対的な意味での真偽をあつかっているわけではないので、修正しました(その下の文章も、適宜修正しました)。
(3)不完全性定理と数学的帰納法の関係について、誤解を招く表現がありましたので、修正しました。
(4)「ある主張の否定を仮定して、矛盾を導くことで、もとの主張を証明する」背理法と、「ある主張を仮定して、矛盾を導くことで、その主張の否定を証明する」否定の導入を区別すべきだとのご意見をいただきました。たしかに、否定の導入の方は排中律を認めなくても成り立つ場合もあるので、狭義の背理法と否定の導入は同等とはいえません。しかし、今回の数学エッセイは高校1年生の数学で読めることを目指しているので、日本の高校の学習指導要領に準拠して、狭義の背理法と否定導入をあわせて(広義の)背理法と呼ぶことにしました。
ウェブマガジンですと、逐次修正ができるので便利です。ご指摘をありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。
今回の数学エッセイでは、第1不完全定理の証明の概略を、チューリングの「プログラム停止問題」を使って説明しました。実は、こちらの方が問題になるのではないかと心配していましたが、これに関しては、私がツィッターで検索した限りでは、どなたからもお叱りを受けませんでした。
プリンストン高等研究所の前所長だったピーター・ゴダードさんがカブリIPMUにいらしているので、月曜日には、彼を囲んだシンポジウムを行いました。
ゴダードさんは、共形場の理論やゲージ理論、弦理論という数理物理学の広い分野で大きな業績をあげられ、時に、弦理論のノー・ゴースト定理、ゲージ理論の電磁双対性、共形場理論の構成などで知られています。また、ケンブリッジ大学の教授をなさっていたときには、アイザック・ニュートン数理科学研究所の初代副所長として研究所の立ち上げに尽力なさり、セント・ジョーンズ・カレッジの学長もなさいました。また、2004年から2012年までは、高等研究所の所長として活躍されました。
今回のシンポジウムでは、ゴダードさんが高等研究所の所長をなさっていたときに所員であった江口徹さん、堀健太郎さん(正確には、ゴダードさんがいらっしゃる少し前に所員だった)、立川裕二さん、シメオン・へラーマンさんにお話をお願いしました。
また、火曜日には、ゴダードさんと、村山斉機構長と私の三人で鼎談を行い、これについては、カブリIPMUニュースの次号に掲載される予定です。
ところで、先週、幻冬舎のウェブ・マガジンで配信した数学エッセイの第10回「無限世界と不完全性定理 後編」について、ご専門の方々からツィッターでコメントをいただきありがとうございました。ご意見を参考に、修正をして、再配信しました。以下に、修正点をまとめておきます。
(1)以前の原稿では、ゲーデルの不完全性定理を引用するときに、「矛盾のない有限な数の公理で」と始めていました。帰納的・再帰的なものも含めて有限な文字数で表すことができるという意味で「有限な」と書いたつもりでしたが、この点について明確にしていた方がよいと思い、修正しました。
(2)また、第1不完全性定理の主張の中で、「自然数についての真なる主張で」と書きましたが、もともとの不完全性定理は、絶対的な意味での真偽をあつかっているわけではないので、修正しました(その下の文章も、適宜修正しました)。
(3)不完全性定理と数学的帰納法の関係について、誤解を招く表現がありましたので、修正しました。
(4)「ある主張の否定を仮定して、矛盾を導くことで、もとの主張を証明する」背理法と、「ある主張を仮定して、矛盾を導くことで、その主張の否定を証明する」否定の導入を区別すべきだとのご意見をいただきました。たしかに、否定の導入の方は排中律を認めなくても成り立つ場合もあるので、狭義の背理法と否定の導入は同等とはいえません。しかし、今回の数学エッセイは高校1年生の数学で読めることを目指しているので、日本の高校の学習指導要領に準拠して、狭義の背理法と否定導入をあわせて(広義の)背理法と呼ぶことにしました。
ウェブマガジンですと、逐次修正ができるので便利です。ご指摘をありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。
今回の数学エッセイでは、第1不完全定理の証明の概略を、チューリングの「プログラム停止問題」を使って説明しました。実は、こちらの方が問題になるのではないかと心配していましたが、これに関しては、私がツィッターで検索した限りでは、どなたからもお叱りを受けませんでした。
by planckscale
| 2014-04-04 11:03