2014年 04月 12日
ピタゴラスの定理の証明 |

上の写真の右側は大学の寮に囲まれたハーバード・ヤード。色とりどりの椅子が置かれて、春らしい雰囲気になっています。左側が物理学教室の建物です。
素粒子論研究室に行ったら、壁に左のような新しいプレートがかかっていました。物理学教室の上の階と下の階では地球からの重力の強さが微妙に違うので、一般相対性理論によると時間の進み方が変わるはず。1959年に、これを測定する実験が行われた場所を記念するものでした。これは、精密実験による一般相対性理論の検証としては最初のものです。一般相対性理論は、時間や空間の幾何学的な性質を使って重力現象を記述するものです。たとえば、先月発表され話題になったBICEP2望遠鏡による「原始の重力波」の観測は、宇宙初期の時間や空間の様子を教えてくれます。
そこで、幻冬舎のウェブ・マガジン 「幻冬舎plus」の連載『数学の言葉で世界を見たら』 の今回と次回配信の記事では、「宇宙のかたちを測る」という話題を取り上げました。前半の今回は、古代ギリシアの時代から、私たちが幾何学を使ってどのように世界を理解してきたかを振り返ります。私が小学生のときに、エラトステネスの真似をして、名古屋市の中日ビル屋上の回転展望レストランから地球の大きさを測った思い出話も書きました。
そして、今回の話は、ピタゴラスの定理(右の図)で終わります。これは、後半の話でカギになる定理です。
ピタゴラスの定理は平面幾何の白眉なので、何十もの証明があって、たとえば左の図はそのひとつです。左の図の上では、直角三角形abcが4つと、この直角三角形の斜辺caを一辺とする正方形を組み合わせて、大きな正方形を作っています。
この大きな正方形の枠内で、4つの直角三角形の位置を変えると、上ではcaを一辺とする正方形だったのが、左の図の下のように、abを一辺とする正方形とbcを一辺とする正方形になります。これから、ピタゴラスの定理が証明できます。
なるほどと思う証明ですが、定理の偉大さに比べて証明が小手先のようにも感じます。この証明の一番の問題は、どうやって証明したのか、(私には)憶えておけないということです。暗い夜道を家に帰る時に、突然拳銃を突きつけられて、「ピタゴラスの定理を証明しろ」と言われたときに、この方法で証明できる自信はありません。
証明を空で再現できないということは、定理の心が証明に反映されていないからではないか。実は、ピタゴラスの定理にはもっと本質的な証明の仕方があります。
それを説明するために、「一般化されたピタゴラスの定理」を考えます。たとえば、右の図のように、直角三角形の斜辺、底辺、高さに張り付く半円A、B、Cを描くと、A+B=Cとなっています。正方形でなくても成り立つので、一般化されたピタゴラスの定理というわけです。このように一般化すると、ピタゴラスの定理には、一回見たら忘れない証明方法があります。詳しくは今回の記事をご覧ください。
『数学の言葉で世界を見たら』 連載第11回の記事はこちらから。
⇒ 第11回 : 宇宙のかたちを測る 前編
次回第12回の配信は4月27日(日曜日)の予定です。お楽しみに。
ところで、米国のビル・フォスター下院議員が、昨日、合衆国議事堂でBICEP2望遠鏡による宇宙インフレーションの検証の可能性を讃える演説をしていました。フォスター議員は、以前物理学の研究をなさっていただけに、きちんとした内容だったと思います。下に、演説のビデオを貼っておきます。
by planckscale
| 2014-04-12 06:39









