2014年 06月 21日
高等研究所と京都賞 |

先週の日曜日から、プリンストンの高等研究所に来ています。私は、1988-1989年に研究員として過ごしたところなので、懐かしいです。
高等研究所では、毎年大学院生のための「理論物理学の夏の学校」を開催しています。今年のテーマは「弦理論」で、私にも「何でも好きな話題について、3回講義をしてください」という依頼がありましたので、「トポロジカルな弦理論」についてお話しました。
高等研究所の夏の学校は、毎年100名程度の規模だそうですが、今回はなんと300名以上。来週プリンストンで超弦理論の国際会議 Strings 2014 が開催されるからでもありますが、それにしても、超弦理論の研究を志望する学生が多いことを力強く感じました。上の写真の左側は講義室の様子、右側は昼休みにフリスビーで遊ぶ学生たちです。
スウェーデンでは、夏至の日に7種類の野の花で編んだ冠をかぶって祝うという習慣があるそうで、講義の最終日にも、チャルマース工科大学の学生さんが冠をかぶっていらっしゃいました (左の写真)。
さて、今日は京都賞の2014年度受賞者が発表になり、基礎科学部門では高等研究所のエドワード・ウィッテンさんが選ばれました。授賞理由は、「超弦理論の推進による数理科学の新しい発展への多大な貢献」でした。
ちょうど高等研究所にきていたので、お祝いを申し上げたら、とても喜んでいて、秋に京都に行くことを楽しみにしているとのことでした。
ウィッテンさん、おめでとうございます。
上のYoutubeビデオの記者発表では、22:00ぐらいから、フィールズ賞を受賞された数学者で京都賞基礎科学部門審査委員長をなさっている広中平祐さんによる授賞理由の説明 (15分程度) を聞くことができます。過去数十年の数学と理論物理学の発展をたどり、その中にウィッテンさんの功績を位置づける素晴らしいお話だと思いました。
すでに、京都賞の今年度審査機関の名簿も発表になったので、書いてもよいのですが、私も基礎科学部門の専門委員として選考に加わりました。委員会のために、この1年の間に4回京都に行ったのですが、綿密かつ厳正な審査でした。
広中さんによる授賞理由の説明にもありましたが、数理科学の分野としては始めての物理学者への授賞です。物理学の分野では、ノーベル賞が有名ですが、保守的な選考基準のため、理論物理学の場合には、発表から授賞まで長い時間がかかることがよくあります。昨年のピーター・ヒッグスさんとフランソワ・アングレールさんの受賞にも、50年以上の年月がかかりました。それを考えると、超弦理論を対象とした今回の授賞は、京都賞の持ち味がキラリと光るものだったと思います。
ヒッグスさんとアングレールさんへのノーベル賞といえば、高等研究所の夏の学校の最終日に、CERNのLHC実験によるヒッグス粒子の発見をテーマにした映画 "Particle Fever" の上映会がありました。上のYoutubeビデオは予告編です。
素粒子論研究者でジョンズ・ホプキンス大学教授のディビット・カプランさんが、2006年ぐらいから、このような歴史的な実験については記録を取っておかなければいけないという使命を感じて、撮影を始めたそうです。科学的内容の解説は最小限にとどめて、科学者たちがなぜこのような研究に熱中するのか、このような研究にはどのような意義があるのかを伝えることを前面に押した出した映画で、その目的は成功していると思いました。よい映画なので、機会があればぜひご覧ください。
by planckscale
| 2014-06-21 11:46









