2014年 07月 23日
世界基準からかけ離れた早稲田大学調査報告 |
内閣府の山本一太特命担当大臣(科学技術政策、宇宙政策、沖縄及び北方対策)がCaltechを訪問されました。
午前中は、私がCaltechについて大まかにご説明してから、トーマス・ローゼンバウム学長と会談。その後は、重力波検出実験LIGOの見学をされた後、教員会館で昼食会。
左の上は、昼食会に参加された先生方との写真です。山本大臣は、ジョージタウン大学大学院で国際政治学修士課程を修了されただけあって、通訳なしで、Caltechの教授陣とも深い内容の議論になりました。
昼食後は、JPLの見学。その後は、Caltechに戻って日本人の大学院生やポストドクトラル・フェローとの懇談会になりました(左下の写真)。
さて、朝日新聞のWEBRONZAに新しい記事を書きました。STAP事件については、私が書くことはないと思っていましたが、早稲田大学が発表した、「大学院先進理工学研究科における博士学位論文に関する調査委員会」による報告書を読み、学問の根幹に関わる問題があるので看過できないと思い、書くことにしました。
大学の内部だけに通じる論理で書かれていて、博士号に対する世界基準を逸脱したものだからです。
今回の調査報告書を読んで、特に奇妙に思ったことは、委員長が学外の弁護士で、委員の教授たちは匿名だったということでした。委員長が弁護士なので、WEBRONZAの記事では、米国の有名な判例として、不正に授与されたと認められた学位を、大学が剥奪できるかどうかについて争われた「ワリガ 対 ケント州立大学理事会」についての、1986年のオハイオ最高裁判所の判決文を引用しました:
「学位とは、それを授与されたものの教育の到達点と、大学の基準を満たしたという事実を、大学が社会全体に対し認証するものである。大学に学位の剥奪を許さないということは、実際には資格のない者が、成果をあげたかのように認証し続けることを大学に要求することだ。そのような要求は、学位についての人々の信頼を損ない、学術的な基準についての疑いを呼び、このような学位の持つ認証機能を必要とする人々を害することになる。」
科学の進歩の基盤にあるのは、「博士号を持つものは、科学の方法を身につけ、真理を探究するための価値観を共有する仲間である」という、科学者の間の信頼関係だと思います。早稲田大学は、組織の内部だけに通じる論理にとらわれて、科学の進歩を支える大学としての役割をどこかに置き忘れてしまったのではないでしょうか。
WEBROZAの記事は、こちらです。⇒ 世界基準からかけ離れた早稲田大学調査報告
午前中は、私がCaltechについて大まかにご説明してから、トーマス・ローゼンバウム学長と会談。その後は、重力波検出実験LIGOの見学をされた後、教員会館で昼食会。
左の上は、昼食会に参加された先生方との写真です。山本大臣は、ジョージタウン大学大学院で国際政治学修士課程を修了されただけあって、通訳なしで、Caltechの教授陣とも深い内容の議論になりました。
昼食後は、JPLの見学。その後は、Caltechに戻って日本人の大学院生やポストドクトラル・フェローとの懇談会になりました(左下の写真)。
さて、朝日新聞のWEBRONZAに新しい記事を書きました。STAP事件については、私が書くことはないと思っていましたが、早稲田大学が発表した、「大学院先進理工学研究科における博士学位論文に関する調査委員会」による報告書を読み、学問の根幹に関わる問題があるので看過できないと思い、書くことにしました。
大学の内部だけに通じる論理で書かれていて、博士号に対する世界基準を逸脱したものだからです。
今回の調査報告書を読んで、特に奇妙に思ったことは、委員長が学外の弁護士で、委員の教授たちは匿名だったということでした。委員長が弁護士なので、WEBRONZAの記事では、米国の有名な判例として、不正に授与されたと認められた学位を、大学が剥奪できるかどうかについて争われた「ワリガ 対 ケント州立大学理事会」についての、1986年のオハイオ最高裁判所の判決文を引用しました:
「学位とは、それを授与されたものの教育の到達点と、大学の基準を満たしたという事実を、大学が社会全体に対し認証するものである。大学に学位の剥奪を許さないということは、実際には資格のない者が、成果をあげたかのように認証し続けることを大学に要求することだ。そのような要求は、学位についての人々の信頼を損ない、学術的な基準についての疑いを呼び、このような学位の持つ認証機能を必要とする人々を害することになる。」
科学の進歩の基盤にあるのは、「博士号を持つものは、科学の方法を身につけ、真理を探究するための価値観を共有する仲間である」という、科学者の間の信頼関係だと思います。早稲田大学は、組織の内部だけに通じる論理にとらわれて、科学の進歩を支える大学としての役割をどこかに置き忘れてしまったのではないでしょうか。
WEBROZAの記事は、こちらです。⇒ 世界基準からかけ離れた早稲田大学調査報告
by planckscale
| 2014-07-23 14:23