2014年 11月 13日
京都賞授賞式 |
京都賞の授賞式に参加してきました。私は基礎科学部門の選考委員でした。
基礎科学部門の受賞者は、「超弦理論」の指導的研究者であるエドワード・ウィッテンさん。先端技術部門の受賞者は、再生医療で骨、肝臓、筋肉などを形成する「組織工学」の分野を開拓され、薬物を患部に送達し安定的に長期間放出させる「薬物送達システム」を開発されたロバート・サミュエル・ランガーさん。そして、思想・芸術部門の受賞者は、「紬の着物の創作」を通じて、自然との共生を追及されてこられた志村ふくみさんでした。
京都賞の授賞式に参加するのは、昨年に続いて2度目でしたが、授賞式、晩餐会、記念講演、ワークショップのどれも、国際賞にふさわしい内容に富むもので、関係者の努力が感じられました。
雑誌『数学セミナー』の巻頭言にも書きましたが、基礎科学部門では4年に1度数理科学の分野への授賞がありますが、この分野で物理学者への授賞は今回のウィッテンさんが初めてでした。授賞記念講演では、過去40年間の研究を振り返り、ご自身がどのようにして研究の方向を選ばれてこられたか、またそこにどのような意義を感じるかを誠実に語られ、この方面の研究をしている私にとっても触発される内容でした。
ウィッテンさんへの京都賞の意義については、こちらのブログ記事にも書きました。
先端技術部門のランガーさんは、大学で化学の学位を取得した後、同級生が石油産業などに高給で就職していく中で、医学への応用を志し、「組織工学」という新しい分野を創出され、また「薬物送達システム」という新しい技術を開発された際の、数々の困難と成功の喜びを語られました。それまでなかった分野を築き上げられ、しかもそれが人々の幸福に貢献している。そして、その過程で数多くの後進を育てられ、学者として素晴らしい人生を歩まれたと思います。ユーモアに溢れた講演で、聴衆からも何度も笑い声があがっていました。
ランガーさんとウィッテンさんの京都賞記念講演は、上に添付したビデオで見ることができます。ウィッテンさんの講演は、1:12ぐらいから始まります。
志村ふくみさんは90歳とは思えない溌剌としたご様子で、ご自身の思想を説得力を持ってお話になるのに感心しました。
今日はウィッテンさんを囲んだ座談会があり、私は司会の役をしました。この座談会の記録は、『数学セミナー』に掲載される予定です。右の写真は、座談会の後で撮ったものです。ウィッテンさんは、1990年に国際数学者会議、1994年にムラテック主催の一般講演会、また2003年に私たちが主催した超弦理論国際会議Strings 2003の際に京都にいらしています。
1990年と1994年には『数学セミナー』にインタビュー記事が掲載され、現在数理科学の研究者になっている人の中には、この記事を読んで触発されたという人がいます。今回の座談会の記事も、将来科学の分野に進む学生の励みになれば幸いです。
by planckscale
| 2014-11-13 18:55









