2015年 03月 26日
ケンブリッジ大学 その4 |

「Eurostrings」での講演が終わって、くつろいでいます。
昨年の12月に発表した論文の内容と、現在研究中の研究の両方について、お話ししました。講演中も、講演の後も、多くの質問をいただき、よい反応だったと思います。
講演の後は、ケンブリッジ大学教授のディビット・トングさんが、「ラマヌジャンの最後の手紙を見せてあげよう」といって、トリニティ・カレッジのレン図書館に連れて行ってくださいました。トングさんは、トリニティ・カレッジのフェローで、レン図書館の委員もなさっています。私が、ラマヌジャンに興味があると知っていて、あらかじめ許可を取っておいてくださったようです。
上の写真の建物の2階部分が図書館で、内部は左の写真のようになっています。インドの天才数学者ラマヌジャンは、1920年に32歳で亡くなる年に、自らが「モックモジュラー形式」と呼んだ関数の性質を調べていて、英国の数学者で共同研究者だったハーディにノートを送ったそうです。しかし、ハーディはこれを理解できず、ノートは何人かの数学者の手に渡った後、ケンブリッジ大学トリニティカレッジの図書館に寄贈され、そのままそこで眠ってました。それをジョージ・アンドリュースが1976年に発掘し、1987年に本として発表しました。
私は、ちょうど1987年に国際会議でインドを訪問していたのですが、このラマヌジャンの「失われたノート」の内容が話題になっていました。会議中にこのノートについてのテレビ番組があり、参加者とそれを見て、「モックモジュラー形式って、弦理論に使えるのだろうか」という話を冗談交じりにしたことを覚えています。
2010年になって、私が、江口徹さんと立川裕二さんと共同で発見した「マチュー群の月影」と呼ばれる現象に重要な役割をすることがわかりました。この方面の研究は、最近盛んで、2週間ほど前のブログの最後にあるQuanta Magazineの解説記事でも取り上げられています。今回の「Eurostrings」でも、これに関する講演が3つほどありました。右の写真が、レン図書館で撮影させていただいた、ラマヌジャンがハーディに宛てた最後の手紙の最後のページの一部です。「Mock θ-Functions (of 5th order)」と書かれた下に、いくつかの式が並んでいますが、これが最近の「月影現象」で重要になっている関数です。
私の研究の源流になっているラマヌジャンの手紙を、手にとって見ることができて、感激でした。素晴らしい経験をした後は、デイビット・トングさんに連れられて、トリニティ・カレッジのフェローのラウンジでくつろぎました。暖炉の上には、アイザック・ニュートンの肖像画がかけられていました(左の写真)。
許可を得て撮影した、「ラマヌジャンからのハーディへの最後の手紙」5枚全部の写真を、下に貼って置きます。

by PlanckScale
| 2015-03-26 06:26









