2015年 06月 01日
量子もつれ |

先週はカブリIPMUで、「物性物理学とAdS/CFT」と題した国際会議を開きました。左が会議の集合写真です。
私はオーガナイザーの一人でしたが、他のオーガナイザーの推薦で講演もさせていただきました。講演のタイトルは「量子もつれ不等式」。最近書いた2つの論文の話をしました。
ひとつの論文は、ちょうど今日電子プレプリント・アーカイブの発表されたもので、これは「ホログラフィックな量子もつれ錐」と題しました。Caltechとスタンフォード大学の大学院生やポストドクトラル・フェローと書いたものです。
これは、「ホログラフィー原理によって、重力理論と等価になる、共形場の理論の持つべき性質」を明らかにしたものです。

こちらの論文では、上の論文とは逆に、「ホログラフィー原理によって、共形場の理論と等価になる、重力理論の持つべき性質」を明らかにしました。また、重力理論のエネルギー密度のような時空の中の局所データが、共形場の理論の量子もつれを用いて計算できることを示しました
こちらの論文は、Physical Review Lettersの注目論文(Editors' Suggestion)に選ばれたので、東京大学の広報部がプレスリリースを出してくださいました。
左の図は、プレスリリースに添付されたもので、拙著『重力とは何か』の図に広報部が色づけをしてくださいました。

さて、『週刊ダイヤモンド』の連載「大人のための最先端理科」、今日発売になった6月6日号に掲載されている私の第5回の記事は、「夜空はなぜ暗いのか」というタイトルです。素朴な疑問から、宇宙の始まりに思いをはせます。電子版でご覧いただくこともできます。
雑誌『数学セミナー』の4月号に、昨年京都賞を受賞されたエドワード・ウィッテンさんとの座談会の記録の前篇が掲載されたことを、しばらく前のブログに書きましたが、5月号に後編が掲載されていました。

雑誌『数理科学』6月号の「自然の中の幾何構造」と題した特集には、私の「宇宙のかたちを測る」 と題した記事が掲載されています。
5月30日(土)には、NHK文化センターの青山教室で、「重力とは何か」と題した講座を開きました。その時の感想を、「とねさん」が早速ブログ記事に書いてくださいました。⇒ とねさんの感想記事
また、5月31日(日)には、中日文化センター栄教室の50周年記念講演会として、花園大学の佐々木閑さんと、「宇宙物理学と仏教の対話」を行いました。
明日は、朝日カルチャーセンター中之島教室で、「数学の言葉で世界を見たら」を開講します。


by PlanckScale
| 2015-06-01 16:38