2015年 07月 11日
ギリシャ その4 |

ギリシャ滞在中には、会議の合間に古代遺跡を訪問する機会がありました。年代順にいくつかご紹介します。
今日は、クレタ島のクノッソスとペロポネソス半島のミケーネ。
クノッソスの最初の宮殿は、紀元前20世紀ごろに建設されたといわれています。紀元前18世紀ごろに、おそらく地震のために倒壊しましたが、第2次の宮殿が再建され、その後数百年栄えたそうです。ヨーロッパでは最古の都市だともいわれています。
上の右の写真は第2次の宮殿の一部です。青銅器時代の遺跡としては最大のものだそうです。
右の壁に描かれた牛の絵は複製ですが、本物をクレタ島の首都イラクリオの考古学博物館で見ることができます (左の写真)。紀元前18世紀ごろに描かれたとは思えない、躍動感のある絵です。
クノッソスといえば、プルタルコスの『英雄伝』の第1話で、アテネの王テーセウスに退治されるミーノータウロスでも有名です。神話では、ミーノータウロスは牛頭人身の怪物とされます。クノッソスを中心とするミノス文明では、牛が神聖な動物と考えられていたのは確かのようで、宮殿でも、左の壁画のような闘牛が行われていたそうです。
クレタ島のミノス文明は、地中海交易で大きく栄え、一時はアテネなども支配下に置きましたが、紀元前14世紀には衰退してしまいます。原因はよくわかっていませんが、近くのサントリーニ島の地震による津波で、船に被害を受け、制海権を失ったからだという説もあるそうです。

ミノス文明を継承したのが、ペロポネソス半島のミケーネを中心に紀元前15世紀ごろに始まったミケーネ文明です。
私は、子供のころにハインリッヒ・シュリーマンの自伝『古代への情熱』を読んでから、一度見てみたいと思っていたので、今回訪問できて嬉しかったです。
ホメロスの叙事詩『イーリアス』に登場するトロイやミケーネは、伝説上の都市と考えられていましたが、これらが実在すると考え、それを発掘して証明したのがシュリーマンだったという話でした。
しかし、実際にはミケーネに重要な遺跡があることは、シュリーマンが1872年に発掘を始める前から知られていたそうです
しかし、ミケーネの発掘が本格的に始まったのは、シュリーマンが上の右下の写真にある「円形墳墓A」から、おびただしい黄金の装飾品を発掘してからでした。
上の右上の写真は、アテネの考古学博物館に展示されている黄金のマスク。シュリーマンが円形墳墓Aにあった遺体の顔の上で発見されたもので、彼はこれが『イーリアス』に登場するアガメムノンのマスクだと信じたそうです。
小高い丘の上にあるミケーネの遺跡からは、エーゲ海を見渡すことができ、ミケーネ人たちはそこからクレタ島のクノッソスやトルコ北西部のトロイに漕ぎ出していったのだろうと思いました。ミケーネ文明は、「紀元前1200年のカタストロフ」で崩壊します。ヒッタイトの鉄の生産技術が地中海に広がることで、青銅器時代は終焉し、文字や芸術は失われ、ギリシャは400年間の「暗黒時代」を迎えます。
ところで、7月7日付の東京大学新聞の第2面に、私のインタビュー記事が掲載されていました。1時間程度の電話でのインタビューで、重力と量子力学の統合に関する最近の話題でしたが、とてもうまくまとめてくださいました (右の写真)。
by PlanckScale
| 2015-07-11 15:11









