2016年 06月 17日
量子物質・時空・情報 |
今週は、京都大学の基礎物理学研究所で開催されていた「量子物質・時空・情報」と題した国際会議に参加していました。「量子もつれ」をテーマとし、量子力学的な性質が顕著に表れる新しいタイプの物質を研究している物性物理学者や、超弦理論や量子重力の研究をしている素粒子物理学者から、量子暗号や量子情報の研究者、さらには量子力学や統計力学の基礎の研究者など、幅広い分野の研究者を集めた、野心的な研究会でした。
会議のバンケットでは、素粒子論から物性物理学に転身されて共形場の理論で偉大な業績をあげられ、場の量子論の量子もつれについても先駆的な仕事をされたジョン・カーディさんが、
「我々は理論物理学の黄金時代に立ち会っている。高エネルギー、物性、量子物理という20世紀の主要な分野が合体しようとしているのだ」
とスピーチをなさいました。
左の写真は、スピーチの後で、カーディさんと私が鯛の塩釜焼きを割っているところです。
私は初日に、先月書いた論文の内容を中心に講演をしました。講演のスライドなどは、会議のサイトから見ることができます。
⇒ 「量子物質・時空・情報」
さて、今週は、CaltechとMITが中心となって運営している重力波天文台LIGOが、重力波の2回目の観測に成功したとの発表をしました。今年の2月には、第1回の直接観測が発表され、新聞の号外が出るほどのニュースでした。
今回の重力波は、14億光年彼方の太陽の14倍と8倍の重さのブラックホールが合体したものだそうです。前回に比べて軽いブラックホールだったので、重力波の波長がLIGOの観測域とうまくマッチして、前回よりも長い時間の観測が可能になったそうです。そのため、合体する前のブラックホールの自転速度なども確認できました。
今回の重力波が受信されたのは、2015年のクリスマスの翌日の12月26日。前回の観測が9月14日だったので、現在の感度でも1年に数回の観測があると見積もることができます。
さらに今後数年の間に、感度を3倍程度には向上させる予定なので、3×3×3=27倍の受信が期待できます。つまり、毎週少なくとも1回、もしかしたら毎日のように重力波が受信されるようになるでしょう。いよいよ、重力波を使って宇宙を探索することができる時代になりました。
LIGOが第2回の観測を発表した6月16日には、宇宙物理学者ジャンナ・レビンさんが重力波望遠鏡LIGOの歴史を語る「重力波は歌う」が今日刊行されました。
とても面白い本だったので、帯の言葉を書きました。
by PlanckScale
| 2016-06-17 22:14









