2016年 06月 28日
「コペンハーゲン」 |
三軒茶屋のシアタートラムで公演されている劇『コペンハーゲン』を観ました。第2次世界大戦中の1941年にドイツの物理学者ウェルナー・ハイゼンベルクが、ドイツに占領されたコペンハーゲンに恩師ニールス・ボーアを訪ねたときの話です。1920年代に量子力学の創設に大きく貢献した師弟でしたが、この訪問の後で仲たがいしてしまったので、このときに何が話し合われたのかが科学史上のなぞとなっています。
私は、5年前にブリュッセルで観て、その時にはハイゼンベルクの役はノーベル物理学賞を受賞されたディビッド・グロスさん、ボーアの役はノーベル化学賞を日本の白川英樹さんらと受賞されたアラン・ヒーガーさんが演じられました。
今回の三軒茶屋での公演では、ボーアが浅野和之さん、ハイゼンベルクが段田安則さん、ボーアの奥さんのマルグレーテが宮沢りえさんという、これまた豪華キャストでした。
ハイゼンベルクの自伝『部分と全体』にもこの訪問のことが書かれています。一方のボーアも、ハイゼンベルクへの手紙を書き、何度も書き直したそうですが、ついに投函されることはなかったそうです。
ハイゼンベルクは、ナチスドイツで原爆製造計画を始めるかどうかを、師ボーアに相談したかったのか。
それとも、戦時中も英米の物理学者と交流があったボーアから、米国の原爆製造計画について聞き出したかったのか。
それとも、ボーアに自分の計算間違いを指摘してほしかったのか。(ハイゼンベルクは、ウラン235の臨界質量の計算を間違えて、そのためにウラン型の原爆製造ができないと思い込み、ドイツが原爆製造に成功しなかった一因となったという説があります。)
マイケル・フレインの台本は、ハイゼンベルクが発見した量子力学の不確定性原理と、過去の出来事の不確定性を重ね合わせています。
マルグレーテは、前半ではもっぱらボーアとハイゼンベルクのやり取りを「観測」(これは不確定性原理のキーワード)する立場ですが、後半になると彼女も観測される側になるというストーリーも、よくできていると思いました。
小道具と言えば椅子が3脚だけで、3時間の間3人が語り合う劇ですが、とても引き付けられました。
ボーアとハイゼンベルクの複雑な師弟関係もうまく表現されていて、ボーアがハイゼンベルクの臨界質量の計算間違いを指摘する場面なども迫力がありました。
劇場は満員で、立ち見が15名ほど出るほどの盛況でした。
ところで、先日ご報告した「9次元からきた男」の国際プラネタリウム協会最優秀教育作品賞受賞について、東京新聞、朝日新聞、また映画の情報サイトfjmovieに取り上げられていました。
これを機会に、多くの人に見てもらい、科学の素晴らしさを感じてほしいと思います。
by PlanckScale
| 2016-06-28 21:57









