2017年 03月 25日
トリエステ |
日本物理学会の総合講演を終えた翌日にイタリアに向かい、トリエステにある国際理論物理学センターの「超弦理論春の学校」で、量子重力理論の持つ量子もつれの性質について、4回の連続講義をしました。トリエステは、第一次世界大戦まではオーストリア-ハンガリー帝国の港町でした。スエズ運河ができてからは、地中海有数の港として発展し、コーヒー豆の集積地としても重要だったそうです。
今でも街中にはウィーン風のカフェがたくさんあり、日本でも知られているコーヒーの「イリー」の本社も、トリエステにあります。
左の写真は、研究所に隣接した公園に建っているミラマール城です。帝国最後の皇帝フランツ・ヨーゼフの弟マクシミリアンが隠遁のため建てたものです。
国際理論物理学センターは、パキスタン出身のノーベル物理学賞受賞者アブダス・サラムさんが、発展途上国の基礎科学振興を目的として設立されました。最初は国際原子力機関が運営していましたが、1996年からはユネスコが運営しています。超弦理論春の学校は、大学院生やポストドクトラル・フェローを対象に、1980年代の後半から始まり、30年以上毎年開かれています。
私が春の学校で連続講義をするのは、これで8回目。2003年から2006年の4年間は、インドのアショカ・センさんと一緒に、校長もしました。
研究所のミッションが発展途上国の支援なので、アフリカや中東、アジア諸国からの参加者を多く見かけます。
右の写真は、イランのエスファハーンから来た学生さんと。
講義をしているときに演台から学生たちの方を見ると、まるで世界地図を見ているようです。講義の間の休み時間に、イスラエルとイランなど敵対関係にある国々の学生たちが、政治の壁を越えて、物理学について議論しているのを見ると、科学のすばらしさを感じるとともに、このような研究所は今日とりわけ大切だと思います。
国際理論物理学センターは、毎年、理論物理学で重要な発見をした研究者にディラック・メダルを授賞しています。今年の受賞者は、ネーサン・ザイバーグさん、アルカディ・バンシュタインさん、ミハイル・シフマンさんの3名で、春の学校の週に授賞式がありました。上の左の写真は、授賞式の後の夕食会の様子です。また、私が昔から親しくしている超弦理論研究者の K. S. ナラヤンさんの退官記念のイベントがあり、私もスピーチをしました。右の写真は、その後の夕食会の様子です。
『週刊ダイヤモンド』の「大人のための最先端理科」、4月1日号掲載の第23回記事のタイトルは「 星々までの距離はどう測る? 測定が明らかにした宇宙の姿 」。
この連載では、地球に一番近い恒星は4光年先だとか、13億光年彼方のブラックホールの二つが合体したとか、まるで見てきたことのように書いてきましたが、そもそも、こうした星々までの距離はどのようにして測っているのか。今回はその方法について解説しました。距離を測るのに重要な役割を果たすセファイド型変光星明るさと周期の関係を発見した、ヘンリエッタ・リービットさんも登場します。
この『週刊ダイヤモンド』の記事は電子版でご覧いただくこともできます。
by PlanckScale
| 2017-03-25 06:21









