2018年 02月 27日
ダークマターは本当に存在するのか |
インドとシンガポールの出張から帰った次の週には、ソロス財団のフェローシップの応募者のインタビューがありました。海外から米国に移民し来た家族の子供の大学院教育を支援する奨学金で、様々な分野の優秀な人材に会えて刺激になりました。
2月のはじめには、学術振興会の新学術領域「なぜ宇宙は加速するのか? – 徹底的究明と将来への挑戦 -」の活動の一環として、東北大学でシンポジウムが開かれました。
私も、その中の計画研究「究極理論からの加速宇宙の解明」の代表をしているので、シンポジウムに参加して、量子重力理論の数学的整合性から低エネルギーの理論にどのような制限が得られるのかについてお話しました。
左の写真が研究会の集合写真です。
東北大学の研究会に行く直前に、サンタバーバラのカブリ理論物理学研究所(KITP)のジョセフ・ポルチンスキーさんがお亡くなりになるという悲しい知らせがありました。
ポルチンスキーさんは、Caltechの卒業生でしたので、Caltechも訃報を出し、私も以下のコメントを寄せさせていただきました。
Joe's discovery of D-branes has enabled string theory to address some of the most fundamental questions in physics such as the Hawking's information paradox, which asks whether general relativity is right in predicting that a black hole destroys information or if quantum mechanics is right in requiring that the information should be preserved in some way.
It has also led to surprising applications of string theory to problems in condensed matter physics and other areas of physics. His discovery has had enormous impacts and has changed the course of theoretical physics over the past two decades.
ポルチンスキーさんは、物理の議論になると誰とでも真剣に対応なさいました。私は彼から、科学者として、また人間として多くを学びました。早くにお亡くなりになってしまったことが残念です。
先週の前半は、ちょうどポルチンスキーさんのいらしたKITPに、共同研究者との議論に行きました。ポルチンスキーさんの同僚だった方々と、思い出話にもなりました。
後半は、アスペン物理学センターの業務でMITに行きました。アスペンでは、毎夏6月のはじめから9月の半ばまで、物理学の様々な話題についてワークショップが開かれます。ひとつのワークショップは4週間程度で、参加者はアスペンに何週間も滞在して、他の参加者と議論を重ね、研究成果を上げることが期待されています。
この夏のプログラムには、世界各地から1000名程度の物理学者が応募してくるので、毎年2月の後半に選考会議があります。今年はMITの先生が選考委委員長をなさったので、MITで委員会がありました。様々な分野から10名が委員として参加し、1000名の応募者の中から600名程度を選びます。
世界中から選りすぐりの物理学者が応募してくるので、10名の委員が2日間缶詰になって議論します。私はアスペン物理学センターの所長をしているので、選考が厳正に行われていることを確認し、また、選考過程で出てくる様々なケースについて判断をするために参加しました。
骨の折れる作業ですが、選ばれた物理学者の方々は皆さん素晴らしく、また夏にアスペンに行くのが楽しみです。
さて、『週刊ダイヤモンド』の連載「大人のための最先端理科」。3月3日号掲載の第32回記事では、ダークマターの話題を取り上げました。
この宇宙には目に見える物質の5倍程度のダークマターと呼ばれる未知の物質があると考えられています。しかし、ダークマターは、まだ地上の観測器では直接捕らえられたことはなく、その存在は仮説です。
そこで、このダークマター仮説はどのくらい確からしいのかを解説しながら、科学の現場で仮説の検証がどのように行われているのかを紹介してました。
編集部の付けてくださったタイトルは、「ダークマターは存在するか?科学現場の仮説と検証の方法」。
この『週刊ダイヤモンド』の記事は電子版でご覧いただくこともできます。
2月のはじめには、学術振興会の新学術領域「なぜ宇宙は加速するのか? – 徹底的究明と将来への挑戦 -」の活動の一環として、東北大学でシンポジウムが開かれました。
私も、その中の計画研究「究極理論からの加速宇宙の解明」の代表をしているので、シンポジウムに参加して、量子重力理論の数学的整合性から低エネルギーの理論にどのような制限が得られるのかについてお話しました。
左の写真が研究会の集合写真です。
東北大学の研究会に行く直前に、サンタバーバラのカブリ理論物理学研究所(KITP)のジョセフ・ポルチンスキーさんがお亡くなりになるという悲しい知らせがありました。
ポルチンスキーさんは、Caltechの卒業生でしたので、Caltechも訃報を出し、私も以下のコメントを寄せさせていただきました。
Joe's discovery of D-branes has enabled string theory to address some of the most fundamental questions in physics such as the Hawking's information paradox, which asks whether general relativity is right in predicting that a black hole destroys information or if quantum mechanics is right in requiring that the information should be preserved in some way.
It has also led to surprising applications of string theory to problems in condensed matter physics and other areas of physics. His discovery has had enormous impacts and has changed the course of theoretical physics over the past two decades.
ポルチンスキーさんは、物理の議論になると誰とでも真剣に対応なさいました。私は彼から、科学者として、また人間として多くを学びました。早くにお亡くなりになってしまったことが残念です。
先週の前半は、ちょうどポルチンスキーさんのいらしたKITPに、共同研究者との議論に行きました。ポルチンスキーさんの同僚だった方々と、思い出話にもなりました。
後半は、アスペン物理学センターの業務でMITに行きました。アスペンでは、毎夏6月のはじめから9月の半ばまで、物理学の様々な話題についてワークショップが開かれます。ひとつのワークショップは4週間程度で、参加者はアスペンに何週間も滞在して、他の参加者と議論を重ね、研究成果を上げることが期待されています。
この夏のプログラムには、世界各地から1000名程度の物理学者が応募してくるので、毎年2月の後半に選考会議があります。今年はMITの先生が選考委委員長をなさったので、MITで委員会がありました。様々な分野から10名が委員として参加し、1000名の応募者の中から600名程度を選びます。
世界中から選りすぐりの物理学者が応募してくるので、10名の委員が2日間缶詰になって議論します。私はアスペン物理学センターの所長をしているので、選考が厳正に行われていることを確認し、また、選考過程で出てくる様々なケースについて判断をするために参加しました。
骨の折れる作業ですが、選ばれた物理学者の方々は皆さん素晴らしく、また夏にアスペンに行くのが楽しみです。
さて、『週刊ダイヤモンド』の連載「大人のための最先端理科」。3月3日号掲載の第32回記事では、ダークマターの話題を取り上げました。
この宇宙には目に見える物質の5倍程度のダークマターと呼ばれる未知の物質があると考えられています。しかし、ダークマターは、まだ地上の観測器では直接捕らえられたことはなく、その存在は仮説です。
そこで、このダークマター仮説はどのくらい確からしいのかを解説しながら、科学の現場で仮説の検証がどのように行われているのかを紹介してました。
編集部の付けてくださったタイトルは、「ダークマターは存在するか?科学現場の仮説と検証の方法」。
この『週刊ダイヤモンド』の記事は電子版でご覧いただくこともできます。
by PlanckScale
| 2018-02-27 09:19