2018年 05月 21日
ファインマン100周年 / ベネツィアノ模型50周年 |
5月11日はリチャード・ファインマンさんの誕生日で、今年で生誕100周年になります。そこで、11日と12日にCaltechで記念シンポジウムがありました。私が所長をしているCaltechの理論物理学研究所も共催しました。
11日の晩には、お祝いの夕食会の後、ファインマンさんのお嬢さん、妹さん(91歳ですが、昨年までJPLの技術者だったそうです)、ファインマンさんの量子電磁力学(QED)の仕事を朝永振一郎さん、ジュリアン・シュビンガーさんの仕事と関係づけたフリーマン・ダイソンさん、高等研究所所長のロバート・ダイグラーフさん、ファインマン冠教授のジョン・プレスキルさんとファインマン冠名誉教授のキップ・ソーンさんの対談がありました。
12日には科学シンポジウムがあり、私も講演をさせていただきました。
1962年にポーランドのワルシャワ近郊で開かれた国際会議で、ファインマンさんが行った講演を枕に、最近のホログラフィー原理と量子誤り訂正符号の関係、その応用としての量子重力理論の対称性の問題についてお話ししました。
右の写真は、この1962年の会議場で、ファインマンさんがポール・ディラックさんと議論をしている様子です。お二人とも、1950年代から60年代代にかけて、ゲージ理論や重力理論の量子化について重要な研究をなさっています。
講演のビデオは近々公開されるそうなので、このブログにもアップロードしておきます。
シンポジウムはCaltechで一番大きい1200名収容のベックマン講堂を使って行われましたが、入場券は発売と同時に完売になったそうで、当日も満員でした。
フィレンツェにあるガリレオ・ガリレイ理論物理学研究所で開かれた、ベネツィアノ模型50周年記念シンポジウムで講演をするためです。
ベネツィアノ模型は、ガブリエレ・ベネツィアノさんが1968年に発見した素粒子の散乱振幅の公式で、弦理論の発見の契機となりました。そのため、今年は弦理論50周年の年ともいえるので、来月沖縄で予定している超弦理論国際会議 Strings 2018 でも「弦理論50周年記念セッション」を開きます。
フィレンツェで講演をした翌日は、ボストンに行って、ハーバード大学の研究者と論文をまとめる打ち合わせ。週末に、パサデナに帰ってきました。
この連載では、138億年前のビッグバンから、暗黒時代、星や銀河の形成を経て現在に至る宇宙の歴史、宇宙に満ちているとされるダークマターやダークエネルギーの謎、ブラックホールや太陽系外惑星についての最新の知見、さらには1000京年先の宇宙の姿についてまでを展望してきました。
最終回では、宇宙についての疑問の中でも、最も素朴かつ根源的なものの一つは、「宇宙はどのようにして始まったのか」という問いに、科学者がどのようにこたえようとしているかをお話ししました。
編集部の付けてくださったタイトルは、「宇宙の始まりの謎を解く 究極理論の有力候補「超弦」」。
この『週刊ダイヤモンド』の記事は電子版でご覧いただくこともできます。
by PlanckScale
| 2018-05-21 12:21