2018年 05月 25日
ハンブルク賞 |
ドイツのヨアヒム・ヘルツ財団から、ハンブルク賞を受賞することになりました。選考には、ハンブルク大学とドイツ電子シンクロトン研究所の先生方も参加されたそうです。
授賞式はハンブルクのプラネタリウムで開かれるそうで、授賞式と合わせて、私の研究分野に関する3日間のシンポジウムを開催してくださるそうです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
先日Caltechで開かれたファインマン生誕100周年記念シンポジウムでの私の講演のビデオが公開になりましたので、ここにも貼っておきます。
1962年にポーランドのワルシャワ近郊で開かれた国際会議で、ファインマンさんが行った講演を枕に、最近のホログラフィー原理と量子誤り訂正符号の関係、その応用としての量子重力理論の対称性の問題についてお話ししました。
そのほかの講演のビデオも、こちらのプレイリストから見ることができます。
星新一賞の審査委員になりました。
星新一賞は、日本経済新聞社は理系的な発想力を問う文学賞として始めたもので、第6回になります。
審査員のリストや応募方法などについては、こちらをご覧ください。
審査員就任に際するコメントを、以下に転載します。
数学では、「公理」と呼ばれる仮定を置き、これを前提として論理を積み重ね、定理を導きます。異なる公理から始めると異なる定理が導かれる。たとえば、平面上の図形に関するユークリッド幾何学には「平行線の公理」と呼ばれるものがあり、これを変更するとピタゴラスの定理の成り立たない非ユークリッド幾何学になります。公理の数だけ数学の世界がある。しかし、豊かな数学を生み出す公理もあれば、そうでないものもあります。数学者には、筋がいい公理を見抜くセンス、そこから美しい数学を紡ぎだす発想、そしてそれを定理として完成できる強靭な論理力が大切です。
星新一の作品では、登場人物が合理的な行動をするにもかかわらず、思いがけない展開を見せることがよくあります。異なる公理から異なる数学が生まれるように、私たちの世界の前提をすこしずらすことで、どのような物語が拡がっていくかを論理的に突き詰めて考えるのも、理系文学のひとつのありようだと思います。創造性と論理性は、相反するものではない。前提をずらすセンス、驚きをもたらす発想、納得できる物語を展開させる論理力によって、これまで想像したこともなかった世界を見せてくれる作品の応募を期待します。
by PlanckScale
| 2018-05-25 13:27