2018年 08月 08日
スワンプランド問題 |
Strings 2018の記事に補足です:
このような国際会議では、会場の設営から、ビデオ撮影、ウェブページの管理、また座長の補助(タイムキーパー、マイクラナー)、会場の撤収など、会議の進行のために数多くの業務があります。
今回は、KEKから10名、大阪大学から4名、京都大学基礎物理学研究所から4名、Caltechから1名の大学院生の皆さんが協力してくださいました。
また、大阪大学の橋本幸士さんは、リーダーシップを振るって、彼らを統率してくださいました。
会議の最後に、皆さんに前に来ていただいて、参加者全員でお礼をしました。
ありがとうございました。

今夏で16年目になります。
今年のテーマは、量子重力のスワンプランド(沼地)問題。
超弦理論の真空状態の集合は、「ランドスケープ」と呼ばれています。
超弦理論には膨大な数の準安定な真空状態があるという説があるので、それを表現するにランドスケープという言葉を使っています。
化学や分子生物学などでも、分子の準安定状態がたくさんある時にランドスケープと呼ぶことがあり、それにならったものです。
「スワンプランド」というのは、このランドスケープの補集合のことで、重力を含む理論模型の中で整合性のある量子理論に組み込むことができないものの集まりのことです。
しかし、重力の場合には低エネルギー有効理論に非自明な制限があって、それを明らかにしようというのが「スワンプランド問題」です。
スワンプランドがきちんとわかれば、超弦理論の予言能力が増えると期待できます。
私は、以前からバッファさんと、このスワンプランド問題を研究していて、最初の論文は12年前に発表しました。
6月に、この問題についての新しい予想をまとめて論文にしたところ、話題になり、米国の科学雑誌「Scientific American」にも取り上げられました。
今回は、私がセミナーをすることになり、現在、MITのダニエル・ハーローさんと論文にまとめている研究についてお話ししました。
講演の様子は、以下のリンクから、ビデオで見ることもできます。

by PlanckScale
| 2018-08-08 08:16