2020年 03月 26日
フィレンツェの思い出 |
新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐための外出禁止令で多くの方々が苦労をされていますが、産業や交通も止まっているのでロサンゼルスの空気はとてもきれいです。
パサデナに住むようになって20年以上になりますが、このように青い空を見たのははじめてです。人間の活動が自然にどれだけ影響を与えているかを感じます。
11カ月間が空いてしまったので、昨年のことを思い出しながらいくつか書くことことにします。
昨年のブログは、4月にプリンストン大学の研究会とハミルトン・コロキウムで講演をしたところで終わっていました。その後の話です。
そのまま、イタリアに向かい、フィレンツェのガリレオ・ガリレイ研究所のワークショップに参加しました。サイモンズ財団が世界各地の研究所に設けている「サイモンズ特別招聘教授」として呼んでいただいたのです。
フィレンツェは宿を見つけるのが難しい街ですが、4週間の滞在だったので、旧市街のストロッツィ宮殿の近くにAirBnBでアパートを借りました。
研究所はアルノ川の対岸のアルチェトリの丘の上にあります。毎朝、ポルチェッリーノの噴水の横を通って、ベッキオ橋を渡り、ガリレオ博物館を対岸に臨みながら、坂を登っていきます。パリディニ庭園が見えてくると坂道の反対側にガリレオの生家があります。ガリレオ通りで右に曲がるとガリレオ研究所、そのまままっすぐ行くとガリレオが晩年に幽閉された家を訪問することもできます。
毎日、研究所への往復に「ガリレオを巡る旅」をしました。
イタリアは全土がロックダウンになっていて、フィレンツェのまちも静まり返っているようです。現在の様子のビデオをYoutubeで見つけたので貼っておきます。毎日アパートと研究所の往復で見慣れた道が出てきますが、観光客であふれていた当時と全く違うので驚きました。
研究所に滞在中に、ファン・マルダセナさんへのガリレオ・メダルの授賞式がありました。設立されたばかりの賞で、今回が第1回でした。マルダセナさんのご両親もアルゼンチンからご出席になり、華やかな授賞式でした。
4週間の滞在中は研究に集中するためにご招待を断っていたのですが、2つだけ断れない出張がありました。
ひとつは、ボン大学のベーテ・コロキウム。太陽の仕組みを理論的に解明したことに対しノーベル物理学賞を受賞したハンス・ベーテさんにちなんだコロキウムです。
上の写真は、コロキウムの後の夕食会の様子。
もうひとつは、ヨーロッパ重力観測所(EGO)の訪問です。ピサの近郊にあり、重力波望遠鏡 Virgo が設置してあります。
Kavli IPMU の主任研究者でもあるスタブロス・カサネバスさんが所長をなさっており、Kavli IPMU と EGO の連携についてもご相談しました。
上の写真は、Virgo の端から撮ったものです。トスカーナのワイン畑に囲まれた風光明媚な場所にありました。
by PlanckScale
| 2020-03-26 08:40