2020年 04月 08日
オンライン講義 |
新型コロナウィルスの感染拡大のためロサンゼルスでは外出禁止令が出てから3週間近くなりますが、日本でも緊急事態宣言が出て、東京大学でもいくつかの例外を除いて研究者の研究室立ち入りができなくなりました。学内の会議や講義もオンラインだけになりました。
Caltechでも春学期はすべてオンラインになり、今週からは私も自宅から講義をしています。

この写真は、私の「オンライン・スタジオ」のセットアップです。ウェブカメラと撮影用の照明器具も用意しました。筒状のものはカメラ+マイク+スピーカーです。PCを黒板の代わりにタブレットとして使っていて、PC内蔵のカメラでは私の様子がうまく撮れないので、カメラを別に用意しました。
オンライン講義といえば、10年ぐらい前に東京大学とCaltechの大学院と学部の共通講義「先端物理学国際講義 I 」を行い、ビデオ会議施設を使って日米同時に講義を行ったことがあります。Caltechで講義をするときには東京大学の学生がビデオで参加、逆に東京大学で講義をするときにはCaltechの学生がビデオで参加しました。
日本とカリフォルニアの間には時差が7時間あって、Caltechでは夕食の後の講義になるので、Caltechで講義をするときには妻が焼いたお菓子を持っていったものでした。
そのときは、Caltechでも東京大学でも目の前にどちらかの学生がいたのですが、今回は学生全員がビデオで参加するので、学生の反応を見ながら講義ができるか少し不安でした。ジョークを言っても、うけているかどうかわからないのではないか。

幸い、今日行った1回目のオンライン講義はうまくいったようで、後からよい反応をいただきました。
今学期の授業は学部生向けの「物理学のための数学的方法」で、複素解析や微分方程式などをあつかいます。上の写真は、複素解析の入門の所で、オイラーによるバーゼル問題の解答を説明しているところです。
Caltechではオンライン講義をZoomで行っているのですが、試してみてうまく言ったやり方をいくつかまとめておきます。
(1)講義が始まる時にはすべての学生を「ミュート」にしていて、質問がしたい学生にはミュートを外して発言してもらうことにしています。しかし、ビデオ会議で発言するのに躊躇する学生もいるようなので、「チャット」のウィンドウを開いておいて、チャットでも講義中の質問を受け付けることにしました。
(2)参加している学生に、自分のビデオカメラをオンにするように勧めました。米国では多くの州で外出禁止令が出されており、自宅に帰った学生の多くは他の人と会う機会も少ないようなので、このような機会にでも同級生の顔が見られると、つながりが確認出来てよいだろうと思いました。講義をしている私にとっても、学生の顔を見ながらの方が講義をしやすかったです。ただし、ビデオカメラをオンにしたくない学生もいるので(たとえば、起きたばかりで寝ぼけ顔だから)、あくまで奨励ですが。
(3)ZoomではYes/Noの投票をさせることができるので、講義中に簡単な質問をいくつかしました。
(4)講義中には質問しにくい学生もいるので、講義の後でZoomをしばらくオンにして、質問を受け付けました。
こうすることで、オンラインでも、学生が講義に積極的に参加するようになったと思います。
米国の大学では、講義のほかに教授の「オフィス・アワー」があって、学生がふらっと立ち寄れるようになっていますが、これもオンラインで行うことになっています。
予想していたよりうまくできたのでほっとしています。
by PlanckScale
| 2020-04-08 13:08