朝は、つくばエクスプレスの車内で、来月にライデン大学で行うエーレンフェスト・コロキウムの準備をしました。都内に向かう通勤客とは逆向きなので、ゆったり座って仕事ができます。

つくばエクスプレスの駅からIPMUまではバスで5分ぐらいですが、駅前で自転車を借りることもできます。24時間で200円と、バスよりお値打ちです。今日はすがすがしい晴れの日だったので、自転車を借りました。春の新緑の中を走るのは快適です。
IPMUに到着すると、まず村山機構長と国際交流部門の方々と、来週のフォーカス・ウィークの打ち合わせをしました。新型インフルエンザが流行しているので、感染防止対策の確認をしました。海外からの来訪者の検温と保健所への連絡の手続き、会場の出入り口での手の消毒とマスクの配布、マスクの安全な廃棄、体温が瞬時に測定できる赤外線カメラの設置、発熱者がいた場合の手続きなど、公衆衛生のための万全の対策を講じています。短期間でこのような準備をしてくださった事務部門の方々には頭が下がります。

打ち合わせの途中に、新任のポストドクトラル・フェローが挨拶に現れたので、急遽、認証式がおこなわれました。帰国したばかりの村山機構長は、感染防止対策にのっとって、マスクを着用しています。
国際交流部門の方とフォーカス・ウィークのバンケットの打ち合わせもしました。招待講演者に問い合わせると、案の定、菜食主義の方がいらっしゃるので、対応が必要になりました。(問い合わせておいてよかったです。)
今日は、Caltechのチャンスン・パーク君と書いた論文が、
プレプリントarXivに発表されました。1時間後には、早速コメントが送られてきたので、対応をします。

その後は、昼ごはんまでトポロジカルな弦理論についての議論をする時間がありました。
現在、IPMUはプレハブの建物で活動をしていますが、どんどん手狭になって、ポストドクトラル・フェローの中には10人部屋に押し込められている人たちもいます。本館が完成するのが待ちきれません。プレハブの研究室で議論をしていると、建設の槌音が聞こえてくるのがうれしいです。左の写真が建設現場ですが、3階ぐらいまで構造ができているところでしょうか。
昼食の後は、午前中の議論で宿題になっていた論文を読みました。
午後2時には、IPMUを含む5つの世界トップレベル研究拠点の2008年度拠点構想進捗状況確認報告書が、学術振興会から発表になりました。結果はこちらで読むことができます。⇒
http://www.jsps.go.jp/

「見本となるのは、村山斉博士の強く戦略的な指導力によって、短期間で目に見える拠点を形成しつつあるIPMUである。」
「IPMUの若手研究者たちは、誇りを持って、一流の国際研究機関で働いていると確信している。」
また、私の研究分野については、
「物理学と数学の交流からは多くの注目すべき成果が生まれており、弦理論については特にそれが言える。」
とありました。もちろん、今後への課題も指摘されており、さらに努力する必要があります。
午後3時のお茶の時間には、今日発表したパーク君との論文について質問を受け、黒板の前で少し議論になりました。
その後は、ソウル国立大学の山口哲さんのセミナーを聞きました。1時間半のセミナーで、最初の30分はIPMUの広い分野の人にわかるように話してもらい、その後5分間休憩をおいて、残りの55分で専門化向けの話になります。話の大枠だけ分かりたい人は最初の30分だけ参加すればよいので、数学、物理学、天文学に渡る広い分野の研究者が集まるIPMUには、有効なやり方だと思います。
午後5時からは柏キャンパス主催のバーベキューの予定でしたが、強風のため中止になりました。
つくばエクスプレスに乗って帰宅途中に、村山機構長から携帯に連絡がありました。日本では電車の中で電話をかけてはいけないそうなので、途中の駅で降りてプラットホームから電話をかけなおしました。最後まで気が抜けません。